2022 Fiscal Year Annual Research Report
電子デバイスを用いた広帯域テラヘルツパルス発生技術の開拓
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22H01989
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有川 敬 京都大学, 理学研究科, 助教 (70598490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 郁文 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80432532)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 共鳴トンネルダイオード / シングルショット |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の3つの課題に取り組んだ。
・回路内キャビティデバイスの試作と動作確認:広帯域発振する共鳴トンネルダイオード発振器を実現するため、発振回路内にキャビティ構造を持つデバイスの設計、試作を行った。様々な種類の構造を持つ多数のデバイスを作成し、その一部で発振動作を確認することができた。新たな構造のデバイスで発振が確認できたことは今後の広帯域発振実現に向けて重要なステップである。 ・モード同期メカニズムの理解推進:広帯域発振メカニズムを理解するため、モード間隔のキャビティ長依存性を詳細に調べた。その結果、レーザーキャビティで期待される単純な逆数の関係にはなっていないことが明らかになった。実験結果の一部は弱いフィードバックを実効的に取り入れた等価回路モデルで説明できることが明らかになった。これは共鳴トンネルダイオードテラヘルツ発振器のモード同期メカニズムがレーザーと同様なのかを理解する上で重要な結果である。 ・シングルショット法による電場計測:発振状態を評価するのに必要となるシングルショット計測技術を共鳴トンネルダイオードテラヘルツ発振器に適用するための検討実験を行った。予備実験として高出力なインパットダイオード(発振周波数約150 GHz)を用い、出力電場をシングルショット検出することに成功した。低出力な共鳴トンネルダイオードテラヘルツ発振器に適用するためには計測システムの改良が必要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた上記3つの課題について着実に進展が見られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
・キャビティ構造の最適化による広帯域化 未評価の試作デバイスを評価し、広帯域発振を実現するための回路内キャビティ構造の最適化を行う。 ・モード同期メカニズムの理解とその活用による広帯域化、及び短パルス生成方法の探索 引き続きモード同期メカニズムの理解を進め、広帯域化および短パルス生成方法の探索を行う。 ・シングルショット計測技術の高感度化 計測システムの高感度化を行い、共鳴トンネルダイオードテラヘルツ発振器の出力電場計測を実現する。
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