2022 Fiscal Year Annual Research Report
歪フォトニック結晶における重力効果を用いた光操舵の研究
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22H01991
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北村 恭子 東北大学, 工学研究科, 教授 (40635398)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 歪フォトニック結晶 / 光操舵 |
Outline of Annual Research Achievements |
「歪(ひずみ)フォトニック結晶(DPC)」は、格子点が光の波長程度の周期で規則正しく配列されたフォトニック結晶(PC)において、その各格子点の位置や形状を周期配列から緩やかに変位・変形させた、格子歪を有する構造である。格子歪により、平均屈折率が一定の条件下でも光の軌跡を曲げることができる。これは、微分幾何学により、格子歪が光にとっての歪んだ空間を形成し、重力効果を与えると理解できる。 本研究は、DPCにおける重力効果を用いた光操舵を理論・実験により明らかにすることを目的としている。 2022年度は、新たな格子歪として、三角格子系および長方格子系を基準格子系とする格子歪における光軌跡について、2次元電磁界シミュレーションと平面波展開法による等周波数面解析より明らかにした。実空間における格子の変形に対する波数空間における等周波数面の変形のしやすさを定量化するソフトネスを導入し、その結果長方格子系において最も大きな光蛇行が得られることを明らかにした。 DPC中の光伝搬の軌跡を実験的に可視化するための実験系を構築した。まず実験系の構築にあたり、光軌跡の可視化に必要な実験条件を3次元電磁界シミュレーションを用いて明らかにした。2022年度当初予定では、近接場光学顕微系による可視化を予定していたが、世界情勢の変化により、所望の走査プローブが入手困難となったため、2023年度へ研究計画を延長・繰越を行い、DPC表面のエバネッセント成分を量子ドットによる発光から検出する系について改めて検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においては、DPC中の光伝搬の軌跡を実験的に可視化することに特に注力している。しかしながら、研究開始当初(2022年度)に調達を予定していた走査プローブが世界情勢の影響により入手困難な状況となったため、量子ドットによる発光を用いるという全く新たな実験戦略をとることとなった。そのため、全体として実験計画に遅れが生じている。 一方で、電磁界シミュレーションによる光操舵に関する知見は順調に得られている為、現在までの進捗を「やや遅れている」と自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
DPC中の光伝搬の軌跡を実験的に可視化するための実験系を構築にあたり、光軌跡の可視化に必要な実験条件を3次元電磁界シミュレーションを用いて明らかにした。2022年度当初予定では、近接場光学顕微系による可視化を予定していたが、世界情勢の変化により、所望の走査プローブが入手困難となった。そのため、2023年度へ研究計画を延長・繰越を行い、改めて、DPC表面のエバネッセント成分を量子ドットに吸収させ、波長変換のち量子ドットの発光から検出する系について検討を行うこととする。 また、理論的に一般相対論での議論が可能であり、重力効果として考えることのできる低周波数領域を用いているが、今後は、ライトラインより上に放射する高周波数領域でのDPCでの光伝搬についても検討する。
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Research Products
(8 results)