2022 Fiscal Year Annual Research Report
古代の出土文化財が教えてくれる1000年超の腐食寿命予測モデル
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22H02000
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 豊 東北大学, 工学研究科, 教授 (10260415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 孝道 東北大学, 工学研究科, 技術専門職員 (20422090)
阿部 博志 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30540695)
柳田 明進 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (30733795)
山本 正弘 東北大学, 原子炉廃止措置基盤研究センター, 学術研究員 (80373629)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地層処分 / オーバーパック / 炭素鋼 / 腐食 / 出土鉄製文化財 |
Outline of Annual Research Achievements |
・分析対象とする出土鉄製文化財の候補を選定し、当該文化財に関する背景情報を文献等から取得・整理した。情報としては、年代、製法、製造時の標準的寸法、出土位置、出土場所の水質(pH、塩化物濃度、重炭酸濃度)などから、可能なものを取得した。 ・錆層の構造および成分について非破壊的手法分析を開始した。主に平城宮跡出土鉄製文化財を調査対象として、その腐食状態を蛍光X線分析、X線回折分析、X線CTなどにより非破壊で把握するとともに、既報の平城宮跡の地質・水質調査報告書に基づき埋蔵状態を推定し、その腐食に及ぼす埋蔵環境の影響を検討した。その結果、酸化的な環境から出土した鉄製文化財ではα-FeOOH中にFe3O4が層状に内在した腐食層を有する一方、還元的な環境から出土したものではFeCO3からなる均質な腐食層であることが観察された。また、粗砂に埋没していたものに比べて粘質土に埋没していたもの腐食量が低下する傾向が認められた。さらに、古墳から出土した鉄製文化財の調査機会を得たため、同様の手法で調査を実施した。その結果、古墳出土の鉄製文化財においてもα-FeOOH/Fe3O4からなる緻密な腐食層が形成されていることが認められた。 ・地層処分後の炭素鋼オーバーパックの長期腐食における腐食律速過程ついての従来の考え方を踏まえながら、界面構造のモデル化の検討を開始した。 ・間接電解インピーダンス法の鉄製文化財への適用方法を検討し、基本的な適用性を確認した。すなわち、炭素鋼試料を用いて間接電解インピーダンスと通常の直接電解インピーダンスの計測値を比較し、基本的な整合性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出土鉄製文化財の錆層分析は、当初の予定を超えるペースで進んでいる。間接電解インピーダンスの妥当性検討については、腐食試験による腐食速度との比較に換えて、通常の直接電解インピーダンスによる計測値との比較を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに、①出土鉄製文化財からのデータおよび情報取得に関する項目、②腐食進展機構モデリングおよび腐食速度予測式の構築に向けた項目、③文化財に対する非破壊計測手法のラボ試験による検証に関する項目を、適切な役割分担により並行して進め、適時の情報共有と意見交換に基づいて計画全体を推進する。
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