2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H02067
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前田 大光 立命館大学, 生命科学部, 教授 (80388115)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | π電子系 / イオンペア / 集合化 / 電子物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、集合化能を有する荷電π電子系を設計・合成し、イオンペア集合体の形成および集合化形態(電荷積層型・電荷種分離配置型)の制御に挑戦した。本年度は、電子機能性材料への展開がなされている非荷電型π電子系を凌駕する、新たな物性・機能性の発現が期待される荷電π電子系に関して、その間にはたらく相互作用を制御することで、既存システムを凌駕した電子・光機能マテリアルへの展開を実施した(総説:液晶 2022)。荷電π電子系(ポルフィリンイオン)への置換基導入によって「活性化」し、積層イオンペアから積層ラジカルペアへの変換を実現し、光励起による電子移動も明らかにした(J. Am. Chem. Soc. 2022, Chem. Eur. J. 2023)。ヘテロ原子を骨格に有するポルフィリンから荷電π電子系を創製し、イオンペア集合化挙動を検証した(Chem. Commun. 2022)。荷電π電子系への分極構造の導入によって同種電荷種の積層が誘起されることを見出し、結晶状態で光導電性を示すことを見出した(Angew. Chem. Int. Ed. 2023)。また、荷電π電子系の前駆体であるアニオン応答性π電子系に関し、ホウ素周辺修飾による電子状態・集合化形態の変調(Org. Lett. 2023)、クリックケミストリーを利用した誘導化およびイオンペア集合化(J. Org. Chem. 2022)、らせん状アニオン会合体の荷電π電子系とのイオンペア形成(J. Porphyrins Phthalocyanines 2023)を実現した。さらに、近赤外領域に光吸収を示すπ電子系を新たに合成し、脱プロトン化によって得られるジアニオンがジラジカル性を示し、共存する対カチオンによってその特性が変調することを解明した(J. Am. Chem. Soc. 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
荷電π電子系からなる集合体の構成ユニットの形成・集合化手法を開拓し、周辺置換基によって活性化したπ電子系イオンペアにおけるラジカルペア形成、同種電荷種の積層化戦略の提示、イオンペアリングによるジラジカル性の制御など、物性・機能性発現の基礎となる研究が実施できた。このように、多次元組織化へとつながる荷電π電子系(イオンペア)の開発、規則配列化を実現することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
電荷を付与したπ電子系骨格の設計・合成、周辺修飾・誘導体の合成、集合化に関わる手法の開拓・最適化、さらに得られたイオンペア集合体(材料)の物性・機能性の評価を、共同研究も含めて継続して実施する。
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