2022 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic Synthesis of Pinpoint Fluorinated Polycyclic Aromatic Compounds and Their Application as Functional Materials
Project/Area Number |
22H02071
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
市川 淳士 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70184611)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 多環式芳香族炭化水素 / フッ素 / PAH / 電子材料 / 有機半導体 / 医薬 / 農薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、フルオロアルケン類の連続環化により一連のアセン合成法を開発した。入手容易な出発物質であるマロン酸ジエステルから二つのアリール基を有する(トリフルオロメチル)アルケンを調製し、環化前駆体とした。これに対し、(i)ジメチルアルミニウムクロリドを作用させ、ドミノ形式の連続環化で一挙に二環を形成し、フルオロジヒドロ[4]アセンを得た。さらに、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン (DDQ) による脱水素で、5-フルオロ[4]アセンを合成することに成功した(A法)。また、環化前駆体に(ii) ジメチルアルミニウムクロリドとトリメチルアルミニウムからなる二元系ルイス酸を作用させ、まず一環を形成した。得た二環式ジフルオロアルケンにトリフルオロメタンスルホン酸を作用させ、さらにもう一環を形成して四環式ケトンとした。置換基導入と芳香族化により、5位にアリール基を有する[4]アセンを合成することに成功した(B法)。加えて、(iii) 上で得た二環式ジフルオロアルケンに対し、トリフルオロメタンスルホン酸の存在下でDDQを作用させ、ジフルオロアリルカチオンを経て四環式エノンとした。これに二つの置換基導入と脱水素を行い、5,6位に二つの置換基を有するジヒドロ[4]アセンを合成することにも成功した(C法)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目標は、少数のフッ素で位置選択的に置換した多環式芳香族炭化水素合成法の体系を構築することである。2022年度は本来の目的であるピンポイントフッ素化多環式芳香族化合物の合成法だけでなく、フッ素置換基を持たない置換多環式芳香族化合物の合成法も開発することができた。 以上の理由から、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、炭素だけからなるピンポイントフッ素化多環式芳香族化合物だけでなく、対応するヘテロ芳香族化合物も標的としている。ヘテロ芳香族化合物にも、有機電子材料などとして期待されている化合物が数多く存在する。そこで今後は、これらピンポイントフッ素化ヘテロ芳香族化合物の合成法についても検討していきたい。例えば、ジフルオロアルケンの特異な環化によるフルオロインドール合成法などを開発する。
|
Research Products
(27 results)