2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H02072
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
橋本 卓也 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (20437198)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アミノ化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は最近、優れた窒素官能基化反応剤となりうる物質、N-(フルオロスルホニル)カルバミン酸エステルを発見した。本研究はこの極めて単純な構造で合成も簡単かつ安定な反応剤を軸としたユニバーサルな窒素官能基化法を確立することを目的としている。ユニバーサル(使い易く、汎用性と実用性を兼ね備える)になりうる根拠を研究開始当初から二つ持っており、ひとつはいくつかの反応形式で芳香環やアルケンなどの窒素官能基化に成功しつつあること、もうひとつは生成物のアミンやスルホンアミドといった有用窒素官能基への単工程誘導化に目途がついていることである。反応剤のバリエーションを拡げる研究、触媒化学・光化学・電気化学といった方法論を多角的に取り入れた反応開発、生成物誘導化法開発を推進することとした。 1年目は(1)N-(フルオロスルホニル)カルバミン酸エステルの窒素上に塩素などのヘテロ官能基を導入する新試薬の開発、(2)生成物の誘導化手法の開発、(3)本研究開始時点で確立されていたN-フルオロ-N-(フルオロスルホニル)カルバミン酸エステル(NFC試薬)の合成展開を行った。後半の二つについては極めて順調に研究が進捗したが、一つ目の課題において、想定以上に合成した標的反応剤の安定性が乏しいことが確認された。そこで最終的に系中発生法を採用することでその利用法にめどが立ち、不活性アルケンのアンチ特異的アミノクロロ化反応を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に掲げた課題のうち、新たな反応試薬の開発に若干の障害があったものの、簡便な系中発生手法を確立することで問題なく目標とする反応を実現することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これら研究により、本研究で用いるN-(フルオロスルホニル)カルバミン酸エステルがアルケンの窒素化剤として汎用性が高いことを証明できた。さらにユニバーサルな窒素化剤であることを証明するべく、芳香環やアルカンのアミノ化反応、さらにはアルケンやアルカンのアミノ化反応の不斉化に取り組んでいく。
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