2022 Fiscal Year Annual Research Report
Catalytic enantioselective synthesis of non-centrochiral compounds using aryne intermediate
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22H02081
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
神川 憲 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40316021)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アライン / 不斉触媒反応 / 非中心不斉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでに報告例のないアライン中間体を活用したビアリール誘導体の触媒的不斉合成を計画し、検討を行った。2-トリフロメタンスルホニル-3-TMSビアリール誘導体に対して、フッ素アニオン存在下でアラインを発生させると、オルト2置換のビアリールに変換されるために、軸不斉が消失しビアリール軸周りの自由回転が可能なビアリール中間体が発生すると考えられる。そこで、この動的ビアリールアライン中間体一分子とアルキン二分子とキラル遷移金属触媒による [2+2+2] 環化反応が進行すれば新たに芳香環構築され再びオルト3置換ビアリールとなることで、軸周りの自由回転が阻害されて光学活性な軸不斉ビアリールが合成できるのではないかと考えた。同様にしてこのような動的なビアリールアライン中間体二分子とアルキン一分子との [2+2+2] 環化反応がキラル遷移金属触媒存在下で進行すると、今度は2つの軸不斉を有するターアリール誘導体の触媒的不斉合成に展開できる可能性が考えらる。このような計画に基づき、まずはビアリールアライン前駆体にを用いてを2当量のアルキンとの交差環化三量化によりビナフチル誘導体の合成を検討した。その結果、様々な不斉配位子を検討したところ、(S)-QUINAP、(S)-MONOPhos, (R,R) -iPr-DUPHOSの配位子を用いた場合に於いてビアリールアライン:アルキン=1:2の環化生成物が選択的に生成することがわかった。しかしながら、これらの配位子では軸不斉誘導は起こらずにラセミ体を得た。これに対して次に配位子として2座のホスフィン配位子である(S)-BINAPを用いて同様の反応条件にて反応を行ったところ、ビアリールアライン:アルキン=2:1のターアリール環化生成物が得られることがわかった。さらに、major体の収率13%、31%eeで不斉を誘導することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アラインは、その曲がった3重結合に由来して速度論的に極めて不安定な反応性化学種だり、それゆえに高い反応性する不安定中間体である。一方、合成素子としての利用価値が高く、この二十年間で指数関数的に報告例が伸びている。しかしながら、アラインを不斉触媒反応に利用するためには、中性で反応性の高いアラインが立体制御された反応場と十分な相互作用を介して反応が進行する必要があることや、その高い反応性に由来する副反応の併発などがその開発を困難なものとしてきた。今回、我々は、このアラインを活用してこれまでに報告例のない軸不斉ビアリール化合物の軸不斉を制御することに成功した。光学純度は低いものの、アラインを活用した軸不斉合成としては最初の例であり、今後の進展が大いに期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、光学純度の向上を目的として、さまざまな不斉配位子を活用した環化反応を検討する。さらには生成物の構造をX線結晶解析により決定するとともに絶対立体配置の決定も行う。そのために、光学的に純粋な生成物を調製する必要がある。そこで光学的に純粋な生成物を大量合成により供給できる手法を開発することを目指す。また、得られた生成物が立体化学を与える反応機構を理論計算から明らかにする必要があるため並行して検討する。
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Research Products
(16 results)