2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of efficient methods to synthesize organosulfur heterocycles on the basis of aryne chemistry
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22H02086
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉田 優 東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 准教授 (10583750)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アライン / フェノチアジン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に大量合成法を確立できたベンズジイン等価体に対して、2種の活性化剤を利用した2度のアライン発生を逐次的に進行させられることを明らかにした。具体的には、私たちの以前の研究で得られた知見をもとに、本研究において、o-ヨードアリールトリフラート部位とo-シリルアリールトリフラート部位、それぞれから選択的にアラインを発生させられる条件を精査したところ、どちらからも選択的にアラインを発生できた。具体的には、ナフトジイン等価体を用いて、o-ヨードアリールトリフラート部位からはシリルメチルGrignard反応剤を作用させることで選択的アライン発生に成功した。また、ナフトジイン等価体のo-シリルアリールトリフラート部位からは、フッ化物イオンで活性化することでアラインを選択的に発生させられることを明らかにできた。さらに、フラン、アジド等の多彩なアライノフィルを用いて、多環式芳香族化合物を合成できることを明らかにできた。 さらに、アラインの二官能基化について詳しく検討した結果、アラインとチオウレアとの新しい反応を見つけることができた。具体的には、当初の計画では合成の難しかったチオキサントン環をアラインの反応によって一工程で合成できる新手法を発見した。この新反応で合成できるチオキサントン類の幅は広く、多種多様な多置換チオキサントン類の合成に成功している。加えて、本手法により、多彩な新規蛍光性分子の合成を実現できることも明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で目標としていた鍵となるアライン反応や高度に縮環した複素環化合物の合成に成功したことに加え、本研究を進める中での予想外の結果として、新しいアライン反応の発見にまで成功した。以上の結果から、当初の計画以上に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
ベンズジイン等価体を用いて、2種の活性化剤を利用した2度のアライン発生を逐次的に進行させる系について、さらに基質一般性を明らかにすることで、論文として発表するための詳細を詰めていく。加えて、本研究で目指す、各種ヘテロ環が縮環した多環式骨格構築への展開について積極的に検討する。 炭素-硫黄結合形成を経るアラインの二官能基化については、反応機構を明らかにするとともに、本手法の長所を明らかにしていくことで、高度に縮環した含硫黄骨格形成法としての有用性を明らかにする。具体的には、さまざまな置換基を有するアライン前駆体を利用して検討することで、幅広い官能基を有するチオキサントン類の合成等を検討し、本研究をさらに発展させていく。
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