2022 Fiscal Year Annual Research Report
不安定活性種を指向したBNNB配位子含有錯体による配向基不要な分子変換反応
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22H02089
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田原 淳士 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50713145)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 有機金属化学 / 錯体化学 / C-H結合活性化 / 金属-配位子協同作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然ガスや石油を構成するメタンやアルカン、アレーンといった単純炭化水素は化学的に安定であり、超高圧・高温といった従来法に替わる次世代の分子変換法の開発が求められる。化学的に安定なC-H結合を効率的に活性化する手法として、触媒への近接を促進する配向基を基質に導入する手法が存在するが、上述した単純炭化水素は配向基を持たないため、新たな触媒設計指針が求められる。本研究では、イリジウム-ホウ素結合によって温和な条件でのアルカン・アレーンの脱水素ホウ素化が進行するという報告に着想し、基質としてではなく配位子としてホウ素骨格が導入されたBNNB型多座配位子を有する新規錯体を合成し、単純アルカンやアレーンの活性化および分子変換反応の達成を目的とする。 本研究では2,2'-ビピリジンの6,6'-位に種々のアミノアルコールをメチレン鎖で連結した一連の配位子前駆体を導入し、これらとイリジウム触媒前駆体を用いて、単純炭化水素であるベンゼンの脱水素ホウ素化に活性を示すことを見出した。またBNNB配位子の構築に向け、種々の有機ホウ素試薬と配位子前駆体との反応を検討する過程において、ホウ素源としてフェニルボロン酸を用いた際に、対応するビフェニルが生成することをGC-MSにて確認した。本結果は期待される反応様式における炭素-炭素結合の形成過程を形式的に捕捉した貴重な成果であり、今後の反応設計に大きな知見を与えた。これらの成果は国内学会にて発表し、1件の発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度で予定していた配位子合成について一連の知見を得ることに成功している点に加え、当初想定していなかった結果として、一部の触媒系においてある有機分子の位置選択的な二量化反応を進行させることが判明しており、研究の加速度的な拡張が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は合成した配位子を用いて新たな触媒反応の開発に努めるほか、【現在までの進捗状況】に記載の二量化反応について、反応条件の最適化を実施する。
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