2022 Fiscal Year Annual Research Report
Generation and Reactivity of Palladium Radical Complexes
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22H02093
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村橋 哲郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40314380)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パラジウム / ラジカル錯体 / 奇数原子価 / 錯体反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
パラジウムは、触媒としてもっとも広く活用されている遷移金属元素のひとつであり、これまでの膨大な研究により、パラジウム単核錯体は、0価及び+II価の非ラジカル型酸化状態を安定にとる一方で、+I価のラジカル型酸化状態をとりにくいと考えられてきた。ところが近年になって、ラジカル型の+I価単核パラジウム活性種が触媒活性種として機能する可能性が提案された。しかし、パラジウムラジカル種を安定に生成する錯体化学的方法は開発されておらず、その合成・構造解明・反応性の解明が強く望まれている。本研究では、単核Pd(+I)ラジカル種を安定に生成するための新たな配位子設計指針を確立し、単核Pd(+I)ラジカル錯体の合成・単離方法を開発することを目指して研究を遂行している。 本年度は、単核Pd(+I)ラジカル種の生成と合成に向けて研究を実施した。その結果、大バイトアングル2座キレート配位子を利用してPd(+II)種を不安定化し、均化反応の平衡をPd(+I)種側へ片寄らせる戦略に基づいて、Pd(+I)単核種の合成・単離に成功した。さらに、大バイトアングル配位子に加えて、より小さなバイトアングルをもつ二座キレート配位子を用いた検討もおこない、中程度のバイトアングル二座配位子を用いた場合でも単核Pd(+I)種が溶液中で生成することを見出した。また、溶液中での単核Pd(+I)種の生成をESRにより検出し、その安定性についても知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、単核Pd(+I)ラジカル種を安定に生成するための新たな配位子設計指針を確立し、単核Pd(+I)ラジカル錯体の合成・単離方法を開発することを目指して研究を進めている。初年度までに、複数種類の単核Pd(+I)ラジカル種を単離することに成功したことから、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度までに、単核Pd(+I)種の単離に成功していることから、得られた知見を基にして、単核Pd(+I)種の不均化反応や二量化反応について検討を進めて理解を深め、単核Pd(+I)種を安定に生成する手法の確立を目指していく。また、反応性の解明についても発展が期待できる状況にあるため、引き続き、実験に基づく検討を進めていく。
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