2022 Fiscal Year Annual Research Report
化学イメージセンサのマルチアナライト化による反応可視化汎用プラットフォームの実現
Project/Area Number |
22H02100
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉信 達夫 東北大学, 医工学研究科, 教授 (30243265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 浩一郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70447142)
WERNER Frederik 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (90791434)
郭 媛元 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (60815992)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 化学センサ / 化学イメージセンサ / バイオセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1枚のセンサで複数の種類のイオンや分子の濃度分布を同時に画像化できる「マルチアナライト化学イメージセンサ」の実現を目的としている。従来、1枚のセンサで測定できる化学種は1つに限られていたたが、本研究では測定したい各化学種に応答する複数の感応膜を1枚のセンサ面上に集積する方法と、それらの応答を高速かつ正確に読み出す機構を開発することによって、目的の達成を目指している。 本年度はまず、KイオンやNaイオンに対するイオノフォアを含有する高分子膜をセンサ面上に作製し、作製条件による感度・測定限界の違いを調べた。また、センサ面上に複数の膜を配置した場合における戻り電流(測定点で試料溶液中に流れた交流電流のうち周辺の容量を介してセンサ基板側に戻る成分)の影響について検討した。さらに、感応膜のサイズを小さくしていった場合のエッジの影響について調べ、エッジを保護する方法についても検討した。 次に、光走査によって多数の感応膜から正確に信号を読み出すための機構を設計・製作し、評価を行った。装置は100万画素の読み出しに対応できる設計とし、26万画素までの化学イメージの読み出しを確認し、ノイズレベル等の評価を行った。 このほか、微生物の代謝測定や金属材料の腐食試験への応用を想定したカスタム化を行った。化学イメージセンサと微小流体デバイスとの複合により、センサ面上に設けた多数の培養チャンバに微生物を含む溶液を分注して温度制御しながらその場で培養と測定を行うシステムの設計・製作を行った。また、電位または電流を制御された金属電極表面近傍でイオンの測定を行うため、センサの制御回路と試料電極に対するポテンショスタット/ガルバノスタットを複合した回路を設計・製作し評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センサ面上における感応膜の作製・集積と信号読み出しのための基礎的な検討を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
複数のイオン濃度の分布をそれぞれ高い解像度で測定するためには、個々の感応膜の微細化が必要であるため、それに適した感応膜のパターニング方法について検討を進める。また、感応膜の種類ごとにセンサに印加するバイアス電圧の最適値が異なるため、その選択方法について検討する。複数イオンの同時測定においては、イオノフォアに由来するクロスセンシティビティの影響に加え、隣接する感応膜とのクロストークについて検討を行う。 光走査によるセンサ信号の読み取り精度については初年度に開発した装置で十分であるが、読み取り速度向上のための機構について検討を行う。 さらに、具体的な測定対象を想定した装置や制御回路、ソフトウェアのカスタム化を進める予定である。
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