2022 Fiscal Year Annual Research Report
ジラジカル錯体をがん認識光熱変換プローブとするがんの未来型セラノスティクス
Project/Area Number |
22H02101
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
壹岐 伸彦 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50282108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
高橋 透 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (30361166)
唐島田 龍之介 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (40783303)
権田 幸祐 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80375435)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | セラノスティクス / 近赤外光 / 光熱変換プローブ / ジラジカル錯体 / 白金錯体 / ミセル / 葉酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は次の①から③を重点的に検討し,それぞれ成果を得た. ①プローブの設計: ②送達システムに供するため1) 葉酸(FA)で修飾したジラジカル錯体,2) 自己ミセル形成能を持つジラジカル錯体の設計・合成を検討した.1) についてo-フェニレンジアミン配位子に直接FAを導入することはできず,リンカーであるp-アミノメチルアニリンを介してFAを修飾することができた.2) について前駆体となる非対称のジラジカル錯体の合成を検討した.低収率ながらカルボキシル基を一つ持つジラジカル錯体を得ることができた. ②送達システムの設計: 上記1)で得た錯体をMCF-7細胞に導入したところFAを持たないものに比べ約11倍のPt (5.89 ± 0.58 × 10^-15 mol Pt(II) / cell)を導入することができ,ジラジカル錯体においてアクティブターゲティングの有効性を示すことができた.パッシブターゲティングとしてはPEGブロック共重合体(PEG-b-PMNT,筑波大・長崎教授提供)ミセルへジブロモフェニレンジアミンからなるジラジカルPt錯体の導入を検討した.その結果粒径25.8nmのミセルが得られた.当該ミセル溶液は742 nmに錯体由来の吸収を示し,20 × 10^-6 M溶液に30分の2 W/cm^2の近赤外レーザー光照射で17℃の温度上昇を示し,光熱変換プローブとしての有用性がわかった. ③細胞での評価:②の2)で検討したミセルをMG63細胞に導入し,NIRレーザーを5分照射したところ,コントロールに比べ有意に細胞殺傷効果を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設計したジラジカル錯体の一部について合成が難しい事がわかったものの,アクティブターゲティング,パッシブターゲティングそれぞれに用いる錯体系でがん細胞への導入を確認し,また光熱変換や殺細胞効果を確認できたのでおおむね順調と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られたデリバリーシステムについて細胞毒性(暗毒性)の評価を経て,なるべく早く動物実験系に駒を進める.その一方で,速度論的安定性を高める分子設計などを引き続き検討する.
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Research Products
(19 results)