2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evolution of Near-Infrared Spectroscopy for Materials Structure Analysis: Development of NIR-MAIRS
Project/Area Number |
22H02106
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 健 京都大学, 化学研究所, 教授 (30258123)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 近赤外 / MAIRS / 遷移モーメント |
Outline of Annual Research Achievements |
有機材料の深部に入り込める近赤外(NIR)光は,光学的に分厚いバルク材料中の化学種の “定量” と “識別” に強力な分光分析法を与える.一方,バルク材料の物性を支配する “分子集合構造” を結晶化度によらず解析するには “異方性” の視点が不可欠である.それには各バンドの遷移モーメントに着目した帰属が必要だが,倍音・結合音バンドが深く重なり合ったNIRでは非常に困難で,中赤外(IR)分光法のようには活用できていない.本研究では,異方性の解析に強い力を発揮する多角入射分解分光法(MAIRS)をNIR領域に初めて組み込み,NIRのこの弱点を克服する.また逆に,MAIRSの弱点である薄膜限界をNIRの弱吸収により克服する.こうしたNIRとMAIRSの互恵関係により,NIRの未活用の力を強く引き出し,材料構造解析の新たな強力なツールに変革する.これにより,任意の湿度下での開放系で固形物の内部と表面の結晶多形の差異を具体的に明らかにできるなど,他の分析手法にない物性・構造相関の解析に道を拓き,応用物理・高分子・製剤など多分野にインパクトを与える. NIRとIRの「いいとこどり」をするには,NIR分光法で遷移モーメントの実験的にあぶりだす方法が必要,ということである.当初の研究計画では,早めにMAIRS法を適用することを考えていたが,感度などに問題があり,最初に倍音・結合音をいかに高感度に測定するかという新たな問いを突き付けられた.実際には,拡散反射法がその有力候補となり,現在,その基礎研究を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に反し,感度の側面も含めた使える倍音・結合音の実験的あぶり出しが必要となった.悪戦苦闘した結果,意外にも拡散反射法が適切であることに気づき,現在,薄膜を離れて粉末試料による使えるバンドの選定にかかっている.
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Strategy for Future Research Activity |
拡散反射法で粉末の測定をすると,吸収が弱いモードほど透過する回数が増えて吸収が増強し,結果的にバンド強度がノーマライズされるような傾向を示すことに気づいた.現在,基準振動と倍音の関係がよくわかっている試料を用いて,これらの関係を精査し,有機フッ素材料に転用できる道を探っている.
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Research Products
(45 results)