2022 Fiscal Year Annual Research Report
Selective observation of protein secondary structure by IR super-resolution microscopy based on nonlinear optical effects
Project/Area Number |
22H02111
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
酒井 誠 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60298172)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 赤外超解像 / 非線形光学 / タンパク質二次構造 / ナノ空間 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、様々な機能性生体試料に対して2種類の超解像赤外分光イメージングを適用することで、生体試料中の特定のタンパク質二次構造の選択的観察を実現し、分布・配向・濃度を含めた精密な分子構造解析により、新たな「ナノ空間局所構造解析」法の確立を目指している。具体的な研究計画の手順としては、1)四光波混合を利用した赤外超解像顕微鏡の開発、2)羽毛サンプルを標準試料としてシステムの性能評価、3)新規生体試料の探求、の3つのテーマに分類して研究推進する。 22年度は、1)四光波混合を利用した赤外超解像顕微鏡部分の開発・整備を中心に作業を行った。具体的には、既存のVSFG検出赤外超解像顕微鏡システムの光学系と全く同じレイアウトで併用することで、VSFG法と四光波混合法による赤外顕微鏡観察の切り替えを簡略化することができ、同一試料に対して両者の超解像赤外分光イメージを得ることに成功した。その一方で、四光波混合光は極めて微弱であったため、研究の進捗に応じて、検出感度向上の対策を今後は検討したい。また、検出している信号がVSFG光であるか四光波混合光であるかを発光スペクトルで確認できるように分光器も取り付けた。新規開発した四光波混合検出赤外超解像顕微鏡システムの空間分解能、エネルギー分解能、検出感度等の性能評価は羽毛サンプルを標準試料として行った。また、本研究で得られた研究成果については、論文・学会等で発表を行い、情報発信した。なお、本研究では、試料作成を強力に推進することが最重要課題と考え、ウルトラミクロトームを10月に新規購入する計画を立てていたが、業者からの納品が大幅に遅れて3月にずれ込むこととなった。そのため、試料作成部分の整備については順調に研究推進することが困難であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、前期に赤外超解像顕微鏡部分、後期に試料作成部分の開発・整備を中心に作業を行う計画であったが、後期の研究推進の要であったミクロトームの納品が大幅に遅れたため、研究推進にも遅れが生じてしまった。その一方で、前期分は予定より大きな進捗があったため、全体では「やや遅れている」の区分とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、1.赤外超解像顕微鏡部分の開発・改良を推し進める、とともに昨年度購入した、2.ウルトラミクロトーム周りの整備、を行う。本研究推進にあたり不可欠なのが、赤外を含む四光波混合を利用した赤外超解像顕微鏡の開発・改良(1.に相当)であることは言うまでもなく、この装置開発および、高感度化を含めた改良が必須である。またVSFG法と四光波混合法による顕微鏡観察の切り替えの簡略化も行うことで研究推進を加速させるたい。具体的には、各光学部品の最適化を行い、装置の高感度化を実現する。その一方で、検出している信号がVSFG光であるか四光波混合光であるかを発光スペクトルで確認できるように分光器も取り付ける。新規開発した四光波混合検出赤外超解像顕微鏡システムの空間分解能、エネルギー分解能、検出感度等の性能評価は羽毛サンプルを標準試料として行う予定である。 また、本年度は、2.ウルトラミクロトーム周りの整備を行い、未知試料の探求にも注力する。それには、ミクロトームを使った試料作成時の状態を常時観察するための顕微鏡システムの導入が必要であり、今年度新たに顕微鏡システムを購入する計画を立て、予算計上した。これにより、未知試料探求を加速させ、微小生体試料中の特定のタンパク質二次構造の選択的観察を実現する新たな「ナノ空間局所構造解析」法の確立を目指したい。なお、本研究で得られた研究成果については、論文・学会等で発表を行い、情報発信する予定である。
|