2023 Fiscal Year Annual Research Report
革新的ヒ素処理技術の確立に向けたスコロダイト結晶化機構の解明
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22H02116
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 悦郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70312650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 淳 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (70451862)
安達 謙 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (10880057)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スコロダイト / ヒ素 / 非鉄製錬 / 安定固定化 / 湿式処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はスコロダイト合成反応に直接関わる局部電池のアノード反応に焦点を当て、Fe(II) とAs(V) を含む電解液のアノード分極挙動を解析した。実験では、空気による酸化の影響を避けるために、密閉ビーカー電解液に入れて窒素ガスバブリングにより充分に脱気を行った後に電気化学測定を行った。スコロダイトが生成する条件では、アノード分極の際に電極表面がスコロダイトやゲル状前駆体で被覆された。そのため電極の有効表面積が減少して溶液からのFe(II)の供給が制限されることで、電流値はピークを生じたのちに減少した。Fe-As(V)-H2O系の電位-pH 図から予想されるスコロダイトが生成しないpH条件でアノード分極挙動を調査したところ、アノード電極表面でスコロダイトは生成せずにFe(II)が酸化されることで電流が単調に増大した。また、スコロダイト生成条件で定電位電解を行った際のアノード電極表面をSEMで観察することで、電極表面でのFe(II)の酸化によりファセット状のスコロダイト結晶が生成することも確認した。さらには、電極がほとんど被覆されていない平衡電位付近での分極曲線から交換電流密度を求めることでスコロダイト合成反応速度を調査した。溶液温度を変化させてアノード分極挙動を調査すると、ネルンストの式に従って液温が高くなるほど平衡電位が卑にシフトするとともに、高温ほど交換電流密度が高くなっていた。これより、スコロダイト合成反応においては高温ほど反応が速くなる傾向を明らかにすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スコロダイト合成反応に関する電気化学測定が順調に進んでおり、多くの知見を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度に引き続き、電気化学的手法を用いてスコロダイト合成反応速度に及ぼす溶液組成等の影響を調査する予定である。また、ヘマタイトと同様に酸化鉄(III)であるマグネタイトのスコロダイト合成への利用を検討するために、合成溶液中のマグネタイト表面でのスコロダイト析出を顕微鏡観察等により詳細に調査することも計画している。
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Research Products
(4 results)