2022 Fiscal Year Annual Research Report
Green synthesis of pharmaceutical molecules based on metal-free atmospheric oxygen oxidation of amines
Project/Area Number |
22H02124
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
小川 昭弥 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30183031)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メタルフリー / 常圧酸素酸化法 / グリーン合成 / 医薬関連分子 / イミン |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に従って、本年度は以下に示す研究成果を得た。(課題1) サリチル酸誘導体を有機触媒とするアミンのイミンへの酸化的脱水素反応の最適化を検討し、常圧酸素雰囲気下トルエン中90℃で2時間反応を行うことで、不安定イミンを系中で発生させ、これを単離することなく、モレキュラーシーブ共存下、系中で発生させたケテンと反応させることで、β-ラクタムを短工程で合成できることに成功した。次年度はこの最適化されたone-pot法を用いて新規なβ-ラクタム類の合成へ展開する。 (課題2) サリチル酸誘導体を触媒としたアミンの常圧酸素酸化法は、Ugi反応に見られるような多成分のone-pot反応に有効であった。そこでベンジルアミンとo-アミノベンジルアミンの多段階反応を取り上げ、詳細に反応条件を検討した。酸化的イミノ化反応、縮合反応、環化反応、芳香族化反応の4つの反応を組込んだ多段階反応をone-potで行うことでキナゾリン骨格を一挙に構築することに成功した。今後はE値などの環境調和指数の最適化を行う。 (課題3) サリチル酸触媒によるトリアリールメタンのメタルフリー合成法を応用すれば、機能性色素であるローダミン誘導体を短工程で合成可能と期待される。詳細に検討したところ、ローダミン誘導体を合成することに成功した。実験者により収率がやや若干変動することから、さらに実験方法の精査を行う予定である。(課題4) 安価サリチル酸自体を有機触媒とする医薬品などの機能性分子のグラムスケール合成について検討し、鍵過程である酸化的イミノ化がサリチル酸触媒によりグラムスケールで合成できることを見出した。さらに、本手法を含窒素ヘテロ環の合成に応用したところ、イミダゾールやチアゾールをグラムスケールで合成できることが明らかとなった。今後、3置換ピリジン骨格を有する医薬品分子のグラムスケール合成に応用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(課題1)では、サリチル酸誘導体を有機触媒とするアミンのイミンへの酸化的脱水素反応について、不安定イミンを系中で発生させ、同じく系中で発生させたケテンと反応させることで、β-ラクタムを短工程で合成可能となった。(課題2)では、サリチル酸誘導体を触媒としたアミンの常圧酸素酸化法としてベンジルアミンとo-アミノベンジルアミンの多段階反応を検討したところ、4つの反応を組込んだ多段階反応をone-potで行いキナゾリン骨格を一挙に構築することに成功した。(課題3)では、サリチル酸触媒によるトリアリールメタンのメタルフリー合成法を応用し、ローダミン誘導体を合成することに成功した。(課題4)では、安価サリチル酸を有機触媒として、鍵過程である酸化的イミノ化がサリチル酸触媒によりグラムスケールで合成できることを見出した。それ以上に、本手法の含窒素ヘテロ環合成への応用では、イミダゾールやチアゾールをグラムスケールで合成できることが明らかとなった。以上から、交付申請書に従って順調に研究を推進していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
(課題1) サリチル酸誘導体を有機触媒とするアミンのイミンへの酸化的脱水素反応では系中で発生させたケテンとのβ-ラクタム合成を達成した。次年度はこの最適化されたone-pot法を用いて新規なβ-ラクタム類の合成へ展開する。(課題2)では酸化的イミノ化反応、縮合反応、環化反応、芳香族化反応の多段階反応をone-potで行うこと可能となったので、今後はE値などの環境調和指数の最適化を行う。(課題3) はローダミン誘導体を合成することに成功したが、実験者に依存する不確定性があるため、さらに実験方法の精査を行う。(課題4)では鍵過程となる酸化的イミノ化がサリチル酸触媒によりグラムスケールで合成できることを見出し、イミダゾールやチアゾールをグラムスケールで合成できることが明らかにしたことから、今後は、3置換ピリジン骨格を有する医薬品分子のグラムスケール合成に応用する予定である。
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