2022 Fiscal Year Annual Research Report
Novel 3D cell culture systems using cellulose nanofibers with concentrated polymer brushes
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22H02133
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
吉川 千晶 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (10447930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中路 正 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (10543217)
榊原 圭太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20618649)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | セルロースナノファイバー / 濃厚ポリマーブラシ / 間葉系幹細胞 / 自己組織化 / 三次元培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が独自に開発してきた濃厚ポリマーブラシ被覆セルロースナノファイバー(CNF-CPB)は、種々の細胞と自己組織化することがわかっている。これは、CNF-CPBを細胞と混ぜるだけで、自己組織的に生体組織を再生できる可能性を示唆する。この事実に立脚し、本研究では「CNF-CPBと細胞との自己組織化メカニズム」をコロイドのフロキュレーションの観点から検証するとともに、高次構造と生体機能の相関を明らかにし、これを三次元培養法として確立することを目指している。 令和4年度は、表面電荷や繊維長の異なるCNF-CPBと一般的なセルラインとの自己組織化、CNF-CPBと間葉系幹細胞(hMSC)を用いた軟骨再生の研究を実施した。 まず、電荷の異なる4種類の濃厚ポリマーブラシをCNFにグラフトし、ポリマーブラシの電荷が自己組織化体(フロック)のサイズや細胞機能に影響を与えることを確認した。また、繊維濃度が低くなるほど、培養時間が長くなるほど、フロックサイズが大きくなることが示された。次に、繊維長の異なるCNFを用いて同様の実験を行ったところ、繊維長もフロックサイズや細胞機能を制御する上で重要であることが明らかとなった。 さらに、hMSCを用いた軟骨再生についても検討した。まず、CNFにアニオン性の濃厚ポリマーブラシを付与した。得られたCNF-CPBをhMSCと共培養したところ、hMSCは一般的なセルラインと同様に、繊維濃度や培養時間に依存して、サイズの異なるフロックを形成することが確認できた。次に、軟骨分化培地に変えて、同様の実験を行ったところ、繊維濃度に依存して、マクロスケールで「単一」の構造体(シートまたは球状)に自己組織化することがわかった。さらに、遺伝子解析や免疫染色により、CNF-CPBを用いた三次元培養は、細胞だけを用いたスフェロイド培養に比べて、軟骨分化を飛躍的に促進することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度に予定していた研究計画をすべて実施し、次年度に予定していた抗がん剤の薬効評価も前倒しで着手できたため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、来年度もCNF-CPBと細胞との自己組織化構造と生体機能の相関について調べていく。また、CNF-CPBを用いた三次元培養法の有用性を検証するため、関節軟骨組織の再生(in vitro/vivo)と薬効薬理試験(抗がん剤)も実施する。
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Research Products
(4 results)