2022 Fiscal Year Annual Research Report
リビング超分子重合を基盤技術とした分子性1次元コロイドの開発およびその物性研究
Project/Area Number |
22H02134
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉安 和憲 京都大学, 工学研究科, 教授 (80469759)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自己集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高分子化学と超分子化学の手法を駆使して長さが制御された単一分子幅の1次元コロイドを精密合成し、その物性を探究することを通じて、これまでのコロイド科学とは一線を画した『精密コロイド科学』とも呼ぶべき研究領域を開拓する。 本研究で合成する1次元コロイドは、カーボンナノチューブや微小管などの従前の1次元コロイドとは異なり、その長さ、表面電荷の密度や分布、親水/疎水性、セグメント配列、持続長や曲率など、コロイドを特徴づける化学的・構造的なパラメータを自在に制御できることを大きな長所とする。得られた1次元コロイドの構造とその分散液の物性との相関を解明することによって、応募者が提案する『分子性1次元コロイド』の設計性の高さを示し、コロイド物性を分子論的にチューニングできることを実証する。
今年度は超分子ポリマーのモノマー分子を合成した。モノマーの側鎖には共有結合によって重合が可能な官能基を導入した。このモノマーが,脂肪族炭化水素系溶媒中において自己集合し,1次元の超分子ポリマーを形成することを確認した。こうして得られた超分子ポリマーの溶液にラジカル開始剤を添加し,側鎖を重合することによって1次元超分子ポリマーを化学的に固定化した。得られた1次元超分子ポリマーは,クロロホルム等のハロゲン系有機溶媒中においても分解しないことを原子間力顕微鏡観察によって確認した。固定化前の超分子ポリマーは,ハロゲン系溶媒中でモノマーにまで解重合するため,この結果から,固定化によって超分子ポリマーが共有結合によって固定化されたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究達成のためのひとつの山場であった側鎖の固定化を行える条件を見出すことができた。用いた重合官能基と重合条件は,超分子ポリマーの形成にほとんど干渉しないため,非常に汎用性の高い手法の確立に有効である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,リビング超分子重合によって,長さが揃えられた超分子ポリマーを合成し,これを上記の手法によって化学的に固定化する。100から1000ナノメートル程度で長さを制御された1次元コロイドを系統的に合成する。 高分子溶液の研究を参考にして,光散乱測定等から1次元コロイドの持続長を決定する。
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Research Products
(7 results)