2022 Fiscal Year Annual Research Report
高分子中でのイオンー双極子相互作用に着目した革新的材料創製
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22H02138
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| Allocation Type | Single-year Grants |
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| Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
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Principal Investigator |
山口 政之 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40401947)
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| Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | 成形加工 / レオロジー |
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| Outline of Annual Research Achievements |
高分子固体中で生じる分子間の静電相互作用を調べるためのモデル材料を検討した。種々のポリマーおよびブレンド材料を探索し、ポリ乳酸（PLA）とポリビニルアルコール（PVA)のブレンドが適切であると判断した。このブレンド系は、異種ポリマー間に強い静電相互作用が生じ、それによって混合物の高次構造が決定づけられる。
2022年度はまず塩を添加せずに、単純ブレンドの構造と性質に関する知見を深めるための研究を実施した。溶融粘弾性、結晶化挙動、固体構造と物性などの基礎的な実験を行ったところ、PVAがわずかながらPLAの結晶核剤として作用し、PVA表面からPLAのトランスクリスタルが成長するという新しい事実が判明した。さらに、流動場を与えて急冷固化したブレンド物はPLAの結晶化をほとんど生じないものの、それを熱処理すると、配向したPVA分散相からPLAのトランスクリスタルが成長することを確認した。その結果、熱処理によって流れ方向に膨張するという極めて稀な現象を生じることが判明した。このような現象は厳密な寸法制御を必要とする多くのプラスチック成形体にとって新たな材料設計指針となりえることから、工業的意義の深いものである。そこで、本現象の発現機構に関してさらに追及したところ、PVAを添加しなくても、PLAに適切な流動履歴を与えることで、同様の現象を確認することができた。これは流動場でPLAの伸び切り鎖結晶が成長するために生じる現象であり、一般的な成形加工方法への適用が可能である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画とは異なり、予想外のユニークな実験結果が見出された。そのため、予定以上に進捗させることはできなかったものの、概ね順調に進んでいる。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の実験計画に大きな変更はない。しかしながら、成形体の寸法精度向上につながる新事実に対しても研究を進め、産業界への貢献を目指す。特に用いている材料が生分解性樹脂であることから、材料としてのニーズも強いことから、産業界への情報発信に努める予定である。
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