2022 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of supramolecular polysulfide polymer and creation of functional materials
Project/Area Number |
22H02145
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 裕一郎 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (10739676)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 硫黄 / 超分子 / 超分子ポリマー / 配位結合 / 硫黄ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の硫黄ポリマーを線上分子としたポリロタキサンの研究により、硫黄ポリマーへの超分子の概念は硫黄ポリマーの問題解決だけでなく、機能化へも有効であることが示された。本年度は、新たな超分子硫黄ポリマーとして、直鎖硫黄の両端に非共有結合部位を導入したモノマーを作成し、そのモノマーを非共有結合にて連結することで、主鎖型の超分子硫黄ポリマーを合成した。具体的には、直鎖硫黄の両端にビピリジン部位を導入し、そのビピリジンと銅イオンとの金属ーリガンド相互作用を用いることで世界で初めて主鎖型の超分子硫黄ポリマーを合成したことを報告した。超分子硫黄ポリマーの形成はSEM測定にて炭素と硫黄と銅の元素マッピングがSEM画像と同一の分布を示したことと、UV-Vis測定にてビピリジンと銅イオンを添加した際に新たなピークが生じたことから確認した。この際、ビピリジンと銅イオンの比率から、超分子硫黄ポリマーは直鎖型構造であることが示された。得られた主鎖型超分子硫黄ポリマーは、汎用の有機溶媒に可溶であることに加えて、通常の硫黄ポリマーより高分子量であった。これらの結果から、硫黄ポリマーにおいて超分子のコンセプトを導入することは、硫黄ポリマーの低分子量、不安定、溶媒へ不溶という欠点を克服するための有効な手法であることが示された。加えて、非共有結合の形成-解離が可逆な点を利用することで硫黄ポリマーの刺激によるポリマー形成-モノマーへの分解をコントロールでき、ケミカルリサイクルが可能であることも示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硫黄ポリマーに超分子の概念を導入することを研究目的に、主鎖型、側鎖型、貫通型の系統的な合成を主な目的としている。3年計画のうちの初年度において3タイプのうちの貫通型と主鎖型の2タイプの合成が完了していることから、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者の研究全体の構想は、硫黄ポリマー合成において超分子の概念を導入し、超分子硫黄ポリマーという高分子科学における新しい学理を構築するとともに、硫黄ポリマー材料を創製することを目的としている。申請者は既に貫通型の超分子硫黄ポリマーの合成法を確立している。加えて、本年の研究にて主鎖型の超分子硫黄ポリマー合成法を確立した。そのため、次の目標は側鎖型の超分子硫黄ポリマーの合成である。側鎖型は非共有結合部位を側鎖に持つ硫黄ポリマーを合成し、硫黄ポリマー間を非共有結合で連結することで得る。本申請にて、配位結合が有効であることが分かったため、硫黄ポリマー中にビピリジン部位を入れることが出来れば側鎖型の超分子硫黄ポリマーを合成できる目処が立っている。将来的には、学理の構築だけでなく、非共有結合の種類や合成方法の最適化、そして形態の複合化等を行い、電池材料やレンズ等の材料への応用を実現する。
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Research Products
(18 results)