2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of ultra-high-speed nanofiltration membranes by plasma cross-linking of liquid PDMS
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22H02149
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
一ノ瀬 泉 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 上席研究員 (50243910)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ナノろ過膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機溶媒耐性の基材表面に塗布した低粘度のPDMSをプラズマ照射し、洗浄により未架橋のPDMSを除去することで、100nm程度のPDMS架橋膜を作製した。プラズマ発生には、予備実験としてグロー放電プラズマを利用し、大面積化にはRFプラスマ発生装置を用いた。プラズマガスとしては窒素とヘリウムを検討した結果、ヘリウムの方が安定的に架橋できることが分かった。 基材に塗布したPDMSをRoll-to-Roll方式で搬送する場合、塗布量の制御が重要となるが、余剰のPDMSを転写法により除去することで塗布量を制御することが可能になった。その結果、金属性のロールに付着することなく、PDMSのロール搬送が可能となった。プラズマ架橋するPDMSとしては、ビニル基を有するもの、フェニル基を有するもの、エチル基を有するものを検討し、それぞれ分子量を変えて架橋実験を行った。その結果、粘度としては500cSt程度で、末端にビニル基を有するPDMSにおいて、架橋膜の強度と品質が向上することが明らかになった。 ヘリウムプラズマで架橋する場合、ヘリウムガスの流量、プラズマ強度、及びプラズマ照射時の圧力、およびロールの搬送速度が重要なパラメーターとなるが、2022年度は、末端がビニル基のPDMSにおいて、これらのパラメーターの最適化を行った。一方、プラズマ架橋膜と並行して、ナノ細孔を有するCVD膜の製造も検討し、プロピルアミンを原料とするCVD膜の構造/物性評価を詳細に検討し、サブナノメートルの細孔が形成さていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
企業から大面積の有機溶媒耐性の基材を入手しており、その基材を用いて品質が向上している。PDMSの高品質の塗布技術、Roll-to-Rollのプラズマ照射プロセスにおいて、基礎的な実験パラメータを着実に評価しており、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、連携企業から提供されるPTFE等の疎水性フィルターの表面にPDMS薄膜を塗布し、プラズマ照射により数10nmの厚みのPDMS架橋膜を作製したい。また、ナノろ過膜としての性能を評価し、連携企業と特許出願を行いたい。基材が変わるごとに、成膜パラメーター(パワー、圧力、Flow rate、搬送速度)を調整する必要があるが、これまでのノウハウを利用して、大面積で高品質なナノろ過膜を作製したい。 一方、架橋PDMS膜の表面に極薄のCVD膜を形成することで、2nm以下の細孔を有するろ過フィルターの製造を検討し、加圧濾過において疎水性溶媒に溶かした色素の高い除去性能を実現したい。また、PDMS架橋膜のパーベーパレーション性能を評価したい。
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