2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H02170
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲田 幹 九州大学, 中央分析センター(筑紫地区), 准教授 (40624979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 研太 北陸先端科学技術大学院大学, 情報社会基盤研究センター, 准教授 (60405040)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水酸基化学 / 特異結晶 / 高温XRD / 構造安定性の計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(I)溶液中ならびに(II)固体中のOHを制御することで、 (A)ペロブスカイトMTiO3(M=Ba, Ca, Sr)の水熱合成、(B)ハイドロガーネットM3A6H(M=Ca, Sr)の液相合成と熱分解によるM12A7マイエナイト結晶合成を達成し、(III)準安定相を得るための設計指針を確立する。 本年度は、溶液中のOH制御によりMTiO3、M3A6Hの合成と構造評価を行い、生成物に対する溶液中のOH、陽イオンの影響について検討を行った。また、固体中のOH変化を確認するため高温XRDによりマイエナイト結晶析出挙動を調査した。 Ba-Sr比を変化させてMTiO3合成を行ったが、現在までにSrの存在下で特異結晶は確認できなかった。SrはBaよりもOHに対して敏感な挙動を示す傾向が見られた。一方、M3A6Hについては、Ca-Sr比を変化させた全ての条件においてSrコア-Caシェル型のハイドロガーネット粒子が得られ、本系においてもSrがBaよりもOH応答が敏感な傾向が示唆された。これらのことから、今後はpHタイトレータ付き粒度分布計を用いて陽イオンとOHとの関係について調査する必要があると考えている。高温XRD測定を行ったところ、OHの脱離に伴って結晶壊れ(ピーク強度の低下)ることが確認され、OHが結晶を構成する重要な因子であることが示唆された。今後、本年度導入した水蒸気発生ユニットを用いて水蒸気雰囲気制御下での高温XRDを行い、OHの影響を調査する。 さらに、分担者との協働により、マイエナイトにおける結晶の安定性を計算した。ハイドロガーネットからのマイエナイト結晶化に際し、Ca系に比べてSr系は反応が進みにくいという知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MTiO3系の進みがやや遅いものの、M3A6H系が予想以上に進展しており、全体として概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
合成については問題なく行えるようになったため、分析機器を使った構造解析と計算科学による構造安定性計算を行い、議論を進める予定である。
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Research Products
(2 results)