2023 Fiscal Year Annual Research Report
充放電特性解明に向けたナトリウム二次電池正極活物質の複合的電子状態解析
Project/Area Number |
22H02176
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丹羽 秀治 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50704566)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 二次電池 / ナトリウムイオン電池 / 放射光分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次元層状構造をもつ遷移金属酸化物及び三次元構造を持つプルシアンブルー類似体(PBA)という典型的な二系統の二次電池正極活物質について、アルカリ金属脱挿入時の遷移金属-配位子の電子状態変化と充放電特性の相関を明らかにすることが本研究の目的である。 本年度は作成した正極活物質の放射光分光測定を予定していたが、十分なマシンタイムを確保することが出来なかった。そこで、エネルギーハーベスティングへの応用として、プルシアンブルー類似体を電極活物質とした熱電池を組み、異なる電解質濃度での性能評価を行った。コバルトとニッケルプルシアンブルー類似体を用いた熱電池では、電荷移動抵抗と拡散抵抗が支配的であり、Na+イオン濃度に反比例して値は小さくなることがわかった。 また、プルシアンブルー類似体は固体高分子型燃料電池や金属空気電池の酸素還元反応触媒として機能することが近年報告されている。特に、塩基性条件下では、従来用いられている白金に近い性能を示す可能性がある。そこで、これまでに合成した種々の条件のプルシアンブルー類似体の酸素還元反応活性の評価を行うことを計画している。先行研究では、プルシアンブルー類似体を原料として1000℃以下の高温で熱処理して酸素還元反応触媒を作成、評価している例が多い。導電性を確保することで熱処理せずにプルシアンブルー類似体を触媒として用いることができれば、二次電池正極活物質の研究での結晶構造や電子状態の知見を活かした高活性触媒探索が可能となる。 酸素還元反応活性評価に加えて、当初の目的である正極活物質の遷移金属及び配位子の電子状態測定は、次年度以降に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マシンタイムを十分に確保することが出来なかったため、当該年度に予定していたナトリウムイオン電池正極活物質の放射光測定を行うことが出来なかった。 試料合成及び酸素還元反応触媒の応用を計画しているため、課題の進捗状況は遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ナトリウムイオン電池正極活物質である層状酸化物とプルシアンブルー類似体の合成を行う。遷移金属の価数制御を行い、X線光電子分光、軟X線吸収分光、X線吸収微細構造(XAFS)測定等の放射光分光や、赤外分光等により遷移金属と配位子の電子状態観察を行い、電気化学特性等との相関を明らかにする。 マシンタイムが十分に確保できない場合でも研究を遂行するため、プルシアンブルー類似体の酸素還元反応活性の評価を行う。プルシアンブルー類似体は、二次電池正極活物質としての応用だけでなく、他のエネルギーデバイスの電極・触媒としても注目されている。プルシアンブルー類似体は固体高分子型燃料電池や金属空気電池の酸素還元反応触媒として機能することが報告されている。特に、塩基性条件下では、従来用いられている白金に近い性能を示す可能性がある。そこで、これまでに合成したプルシアンブルー類似体の酸素還元反応活性の評価を行う。酸素還元反応活性と、二次電池における充放電曲線の比較を行い、電子状態の観点から機能性の理論構築を目指す。
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Research Products
(1 results)