2023 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of the fast Li+ conductors based on Na compounds and investigation of their ion conduction properties
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22H02179
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 怜雄奈 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10756191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 将伸 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10401530)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 固体電解質 / Li+/Na+混合電解質 / 全固体Li電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究期間で、Li+ドープNaIを用いて全固体Li電池を構築してきた。特にNaIをBH4とLiで置換した固溶体は、Li+ドープ量が10 mol%の時に、Li+伝導度が最大になるため、電池構築にはBH4-とLi+を共ドープしたNaI(以下NaI-NaBH4-LiI)を電解質に用いた。昨年度はLi/TiS2やLi/S電池では、サイクル特性が良好であることを報告したが、これらの電池は動作電圧が2-2.5V程度であった。電池電圧の向上のため、TiF3を正極として電池を構築し、充放電特性を調べた。TiF3は電子伝導度が低く、正極として動作するためにアセチレンブラック(以下AB)を導電助剤として混合した。TiF3: NaI-NaBH4-LiI:AB=3:3:4の質量比で混合した際に、最も充放電サイクル特性が安定していた。充放電に伴うTiの価数の変化をXPS測定により調べた。放電時はTiF3格子へのLi+の挿入によりTi3+が還元されるため、放電後はTiF3のTi2pスペクトルは低いエネルギー側にシフトするはずである。しかし放電後・充電後ともにTi2pスペクトルは変化が見られなかった。また放電容量も、TiF3の理論容量を超えていた。以上のことから、現状ではLi/TiF3電池ではキャパシタのような機構で充放電が進行しているのではないかと考えている。またNaI以外のNa化合物についても、Li+ドープによりLi+伝導が発現するかを調べた。特にNa-richアンンチペロブスカイトであるNa3OBrに着目し、ホストイオンであるNa+の伝導特性を明らかにした。Na3OBrは、350℃、450 MPaでプレスすることで緻密なペレットを成型した。その結果伝導度は250℃で10-7 S/cmであり、Oに対してBrを5mol%過剰にした際に、250℃で10-5 S/cmまでNa+伝導度が向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NaI-NaBH4-LiI はポストアニールによりLi+伝導度が低下する。この原因を解明するため、BH4-含有試料について、Warsaw大学のSlawinskiが開発したRMCProfile7を用い、共同でRMC解析を行っている。ポストアニールにしたNaI-NaBH4-LiIの中性子散乱データのRMC解析から、25℃においては、Li+はドーパントであるBH4- にトラップされていることが示唆されており、ポストアニールによるLi+伝導度低下との相関が示唆されている。Li/TiF3は理論容量である270mAh/gを大きく超えており、キャパシタの可能性を考えている。放電電流を10uAから20uAに増加してもほぼ同程度の放電容量が得られており、50uA放電でも200mAh/gの容量を維持していた。一方で、10uAで充電した際には、放電容量の30%程度しか充電できず、充電レート特性が低いことがわかった。NaI以外のNa化合物については、NaAlBr4、Na4OI2を合成し、Li+ドープを行った。NaAlBr4については、Li+固溶によりa、c軸は収縮したが、b軸は大きな変化が見られなかった。Na+はNaAlBr4中で、NaBr6のプリズムサイトの中心に存在する。このプリズムはb軸方向には傾いておらず、Li+の置換固溶によりプリズムが収縮してもb軸方向の変化は少ないと考えられる。このようなプリズムの配向性から、格子定数の異方的な変化を説明した。一方でNaAlBr4では、NaIと異なりLi+ドープによりイオン伝導度が低下した。Na4OI2はLi+固溶により、イオン伝導度の向上が見られ、キャリアはLi+であることが示唆された。 このようにNaI中のLi+伝導機構解明や、全固体Li電池の構築、NaI以外のNa化合物におけるLi+伝導度の評価を、おおむね研究計画通り行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
NaI-NaBH4-LiIは500Kまでの中性子散乱データは取得済みである。400K、500Kのデータも引き続きWarsaw大学のSlawinskiと共同でRMC解析をすすめ、500Kまでの伝導度の挙動との関係を調べる。特に高温ではBH4-によるLi+のトラップが解消され、ある温度でLi+伝導度が不連続に変化することが予想される。高温まで測定可能な伝導度測定用治具を用意し、室温から250℃の範囲で、イオン伝導の活性化エネルギーの変化を調べる。またNaI-NaBH4-LiIの伝導度向上を目指し、Li+を更に高濃度でドープする。常温常圧ではLi+の固溶限は10mol%程度であり、NaIに固溶したLi+間のパーコレーションが不十分であると考えられる。そこで、昨年度導入した超高圧合成装置を用いて、20mol%程度までLi+組成の増加を試みる。昨年度から着目しているNaAlBr4は、NaAlCl4やNaAlI4と同じ結晶構造であり、ハロゲンの置換が可能である。イオン半径の異なるハロゲンを置換固溶することで、NaAlBr4の格子体積を調整し、ホストNa+やドープしたLi+の伝導挙動を調べる。TiF3/TiF3対称セルを作製し、Li金属を含まない状態で充放電測定を行う。Li/TiF3セルで見られたキャパシタ様の充放電挙動が、Li+/Na+混合電解質に特有の現象なのかを調べるため、LiIを電解質としてLi/TiF3セルを作製し、Tiの価数変化を含めた充放電挙動を解明していく。
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Research Products
(21 results)