2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of highly active and durable electrocatalysts based on control of catalyst-electrolyte interaction
Project/Area Number |
22H02185
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
棟方 裕一 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (00457821)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | イオン液体 / 混合電解質 / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
電解質と触媒の相互作用を制御し、中温域という非常に厳しい条件下においても白金触媒が酸素還元活性を安定に保持できることをプロトン伝導性のイオン液体/リン酸混合電解質中で実証した。しかし、触媒活性は十分とはいえなかったため、触媒担体をケッチェンブラックから耐酸化性と電子伝導性に優れたグラフェン系カーボン材料へ変更した。この際に窒素やホウ素などの異種元素をグラフェンへドープし、グラフェン上へ担持された白金触媒の電子状態の制御を試みた。電子供与性の高い元素をドープしたグラフェンを担体とすることで白金触媒はより還元された状態となり、イオン液体との相互作用が変化した。この変化は酸素還元反応の過電圧低減に貢献し、電極触媒としての性能を高めることにつながった。研究開発の妥当性を検証するため、新たな電解質系として水酸化物イオン伝導性イオン液体に着目し、同様の検討を進めた。本系においても担体の設計に基づく電解質と触媒の相互作用の制御が触媒活性の向上に有効なことを見出した。これらの結果から、単独では酸素還元活性を示さない安価な遷移金属であっても触媒担体の設計に基づいて電解質との相互作用を制御すれば白金代替の触媒となり得る可能性があるため、その検証を開始した。また、水酸化物イオン伝導性イオン液体を用いた検討では、これまで着手してきた酸素還元反応に加え、窒素や二酸化炭素の電気化学固定を目的とした新しい展開を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトン伝導性イオン液体中において白金触媒へのアニオン吸着が酸素還元反応の触媒活性を支配する大きな要因であり、電解質-触媒相互作用を制御することで触媒活性を高められることを明らかにした。新たな系として取り組んだ水酸化物イオン伝導性イオン液体においても、酸素還元反応の触媒活性が電解質と触媒の相互作用によって支配され、その制御により活性向上を図れることを見出した。研究として十分な妥当性と有効性を検証できており、新たな学理の開拓に繋がると期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
白金触媒の担体をケッチェンブラックからグラフェンへ変更することで100℃を超える中温域においても優れた触媒活性と耐久性を白金触媒に付与できることをイオン液体/リン酸混合電解質中で明らかにした。また、担体のグラフェンへ異種元素をドープすることで酸素還元反応に対する白金触媒の質量活性を大きく向上できることも見出した。これらの電解質と燃料電池触媒の相互作用の制御に基づくものであることから、その設計をさらに進め、より優れた燃料電池触媒活性の実現を図る。また、得られた知見を新たな電解質系である水酸化物イオン伝導性イオン液体へ展開し、電解質-触媒相互作用の制御に基づく電極触媒の高活性・高耐久化の有効性と妥当性をより広い観点から検証し、学理としてのさらなる成熟を図る。
|
Research Products
(4 results)