2023 Fiscal Year Annual Research Report
可逆的V-ATPase阻害機構の解明に向けた環状ペプチドプローブの創製と応用
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22H02207
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 将人 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80511906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 大 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (40397039)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 環状ペプチド / 天然物 / 細胞毒性 / V-ATPase |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、強力かつ可逆的なV-ATPase阻害活性を示す環状ペプチド天然物デストラキシン類の作用機序解明を目的に、構造活性相関研究を基盤として、天然物と同様の生物活性を示す分子プローブの創製を検討している。2023年度は、デストラキシン類の活性発現機構の解明に必要な分子プローブの設計と合成、およびヒドロキシカルボン酸側鎖に関する構造活性相関研究を実施した。まず分子プローブについては、官能基導入の足がかりをアジド基に設定し、アルキルアジド基を導入したアミノ酸残基を不斉合成した。続いて、その不斉合成したアミノ酸残基をこれまでの全合成経路に組み込むことで、所望の分子プローブ前駆体の合成に成功した。活性評価を行った結果、天然物と同等の生物活性を示すことがわかり、分子プローブに利用可能であることを明らかにした。また、ヒドロキシカルボン酸側鎖のγ位に存在する酸素原子について、活性発現への影響を調べるためにデストラキシンFの合成を検討した。デストラキシンEの合成を参考にγ位の立体配置がRまたはSの誘導体を合成、活性評価を実施した。その結果、Rの立体配置を有する誘導体が強い生物活性を示すことがわかり、この結果は過去に明らかにしたデストラキシンEの結果を同じであった。このことから、活性発現にはγ位の立体配置が重要であることを明らかにした。次年度はこの知見を基盤として、環状ペプチドプローブの創製を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子プローブを合成するために必要な、天然物と同等の生物活性を示す前駆体を得ることに成功した。また、ヒドロキシカルボン酸γ位の立体配置が生物活性に大きく影響することを見出した。 さらに化合物の評価法として、フローサイトメトリーを利用した細胞内環境の測定法を検討、条件を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
前駆体を利用して分子プローブの作製を行う。その際、光親和性官能基、ビオチンなどのタグを導入する際に用いるリンカーについて検討、生物活性を維持した分子プローブを合成する。得られたプローブを用いて、がん細胞における標的タンパク質の吊り上げを検討する。
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