2022 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic chemical control of protein methylation
Project/Area Number |
22H02214
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
五月女 宜裕 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50431888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島津 忠広 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (10618771)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | タンパク質メチル化 / 酵素 / ケミカルバイオロジー / プロテオーム解析 / S-アデノシルメチオニン |
Outline of Annual Research Achievements |
合成化学とケミカルバイオロジーは、化学、生物学の一翼を担う研究分野であり、いずれにおいても化学反応が重要な役割を果たす。しかし、精製されたフラスコ反応に焦点をあてる化学と、混合物中における生命反応を対象とする生物学には未だ壁がある。本研究では、タンパク質メチル化反応を主題として「欲しい分子」を「本来あるべき場所」で「最小量つくる・検出する」ことを目指している。特に、デザインした独自の分子を用いて酵素反応をハイジャックすることで体の中に埋もれた未知のメチル化反応を炙り出し、さらには独自の阻害剤を開発することで制御することを目指している。 これまでに我々は細胞抽出液に天然のメチル源ミミックであるProSeAM を作用させることで、約300のタンパク質基質を検出できることを示した。さらには酵素のKO細胞由来の細胞抽出液に対応するリコンビナント酵素とProSeAMを添加することで、より解像度高く欲しい修飾反応を探索する手法を確立している。本年度は本手法を用いて、METTL18が触媒するRPL3のヒスチジンタウ位 (3位) でのメチル化反応について論文を報告することができた。さらには、酵素複合系を用いてタンパク質修飾反応を促進できることも明らかとし、この手法を用いて新規メチル化反応の探索に応用することで重要な進展が得られた。 制御研究では、我々が独自に開発した低毒性型pan阻害剤を用いた共同研究において、MTaseが触媒するヒストンH3の9番目のリジン(H3K9)のトリメチル化 (H3K9me3) の動的変化を解析するために有用であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、タンパク質メチル化反応の新基質の同定、さらには複合酵素系での低分子反応タンパク質修飾の検出・定量について順調な進展が得られた。またこれらの化学的な進展に加えて、共同研究を通じて、新たに見出したメチル化反応についてその生物学的機能の解析についても重要な知見が蓄積できた。さらには、阻害剤研究においても、生細胞を用いたメチル化反応の追跡に貢献することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、研究計画に従い、特に探索研究の展開に力点を置く。精製酵素/基質を用いるin vitro研究を起点として、得られた知見を複雑系 (細胞抽出液、生細胞) での機能解析へと展開させることを目指す。化学と生物の多様性を掛け合わせ、未だ見つかっていないタンパク質メチル化反応の探索、その機能の理解と制御を目指した研究を推進する。
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