2023 Fiscal Year Annual Research Report
Morphological profiling for the development of antifungal agents
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22H02216
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 禎一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20183767)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗真菌剤 / 出芽酵母 / CalMorph / 細胞壁 / ポアシジエン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの健康ならびに食料となる農作物に多大な被害をもたらす真菌の存在は、人類にとって大きな脅威であり、新しい抗真菌剤の開発が求められている。そこで本研究では、低濃度で病原性真菌に効く化合物を用いて標的予測を行い、遺伝学的、細胞生物学的、生化学的などの手法を駆使して、細胞内の標的を同定することを目的としている。ジフェルラ酸骨格を持つ抗真菌剤の中でポアシジエンは以前に我々が報告したポアシン酸よりも約10倍低い濃度で出芽酵母に作用するため、より有用な抗真菌剤として期待される。ポアシジエンの形態プロファイリングの解析からDNA損傷応答過程に関連していることがわかってい他ので、本研究では、出芽酵母においてポアシジエンの初期応答を調べるためにRNA-seqの解析を行った。処理後1時間で発現抑制された遺伝子の中に、鉄イオン代謝に関わる遺伝子が顕著に多く見られた。鉄イオン応答遺伝子であるFet3-GFP融合蛋白質の解析からも、顕著な遺伝子抑制が確認された。鉄が豊富にある状態では、細胞はポアシジエンに対してより感受性になった。このことから、細胞内鉄イオンの蓄積によって増殖停止が引き起こされるという仮説が支持された。化学遺伝学的解析からは、DNA損傷応答過程で働く多くの遺伝子の欠損株がポアシジエンに対して感受性を示すことが確認された。また、全てのDNAポリメラーゼが(Fe-S)クラスターを持つことが知られている。以上の結果からポアシジエンで処理すると、細胞内で鉄イオンの蓄積が起こり、(Fe-S)クラスターを持つDNAポリメラーゼの機能不全に陥り、DNA複製が異常になって、DNA損傷応答過程に影響を与えると考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規抗真菌剤の細胞内標的が鉄イオンであることを突き止めたから
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Strategy for Future Research Activity |
ポアシジエンの作用標的を同定するとともに、他の抗真菌剤についても標的予想と標的同定を行う。
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