2022 Fiscal Year Annual Research Report
メガデヒドロゲナーゼ複合体が牽引するエネルギー獲得代謝モードとその制御
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22H02236
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 寛 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (60222113)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エネルギー代謝制御 / メガデヒドロゲナーゼ / バクテリア / PDH / OGDH / リポ酸化 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌における2種のメガデヒドロゲナーゼ(PDHおよびOGDH)の機能、相互作用の理解に向けた研究を実施している。グルコース存在化でのエネルギー獲得代謝は基本的にPDHに依存しているが、グルコースの枯渇に伴いOGDHに依存した反応系に移行する。この際のOGDH活性化において、OGDH E2サブユニットのリポ酸化修飾が酢酸により活性化される分子機構について検討を行った。酢酸による活性化効果がリポ酸化修飾に関わるlipB遺伝子の過剰発現により相補されることから、当初は酢酸によりlipB遺伝子発現が上昇することが原因と予想した。しかし、酢酸によるLipB発現量の増加は低レベルであり、酢酸の効果はリポ酸修飾の基質となるOctanoyl-ACP濃度の変化などによると考えられた。 PDHもOGDHも3種のサブユニットが多量体化した巨大複合体酵素である。共通サブユニットであるE3 (Lpd)はそれ以外のE1、E2と比較すると細胞内に過剰量が発現しており、その量は厳密には調節されていないように見える。一方、PDH/OGDHそれぞれのE1やE2サブユニットを過剰に発現させると、酢酸オーバーフロー欠損時の二段階増殖などの表現型に大きな影響を与えることが判明した。これはサブユニット相互の量比が活性制御に重要であることを意味しており、当初の研究計画であったASKAプラスミドを用いた機能解析(変異体の作成と相補による解析)では正確な情報が得られないことを意味している。そこで、オリジナルは発現制御を変えずに分子遺伝学的解析を可能とする実験系の構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OGDH E2サブユニットのリポ酸化の酢酸による活性化については、LipB過剰発現と酢酸の関係性の究明が微妙であり、LipB発現量定量の精密化が必要であったが、現在までに発現の活性化では表現型が説明できないとの認識に至っており、基質量の変化、あるいは修飾・脱修飾のバランス変化に解析対象を移している状況である。また、PDH・OGDH各サブユニットの分子遺伝学的解析に関しては、発現量を変化させずに特異的変異を導入させる解析系の構築が必要であった。このため、大腸菌ゲノムのCRISPR編集技術を開発されている法政大学・山本教授との共同研究を立ち上げ、ゲノムにコードされたPDH・OGDH遺伝子群を完全に欠失する株の構築を開始した。現在までにOGDHをコードするsucBC領域をdeleteし、PDHをコードするaceEF-lpd領域のdeletion作業が進行中である。これらの株を宿主とし、細胞中で1コピーで維持されるプラスミド(F由来のBACプラスミド)上からPDH、OGDHサブユニット群を発現させることで、自在に各サブユニットに変異を導入する解析系を構築している。OGDHに関しては、既に各種変異株の構築を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
OGDH E2のリポ酸化に関しては、LipB過剰発現で相補されることからLipBが触媒する反応が関わることは間違いない。LipB酵素の基質となるのはOctanoyl-ACPであり、この物質の変化をMS解析により定量する計画を立てている。酢酸添加の前後でのOctanoyl-ACPの変化を追跡していく。 PDH・OGDHの分子遺伝学的解析の準備がようやく整ってきたことから、各サブユニットへのタグ付け、split luciferase系の導入などによるサブユニット間相互作用の解析などを開始する。
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