2022 Fiscal Year Annual Research Report
Transport mechanism of S-adenosyl-L-methionine into vacuole, elucidation of its physiological function and development of its application
Project/Area Number |
22H02260
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水沼 正樹 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 教授 (10343295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 賢治 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 准教授 (80346527)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酵母 / S-アデノシルメチオニン / トランポーター / 寿命 / 液胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
「寿命決定メカニズム」の解明は、健康長寿社会の構築に向けて、優先して取り組むべき課題の一つである。研究代表者は、実験室酵母がSSG1変異によってS-アデノシルメチオニン(SAM)を液胞内に高度に蓄積し、寿命が延長することを見出した。寿命メカニズムは酵母から哺乳類まで広く保存され、さらにSAMは抗鬱,肝機能,アルツハイマー病などの疾患や質の高い睡眠にも効果があることも示唆されていることから,SAM高蓄積酵母株の育種などの応用が期待される。フレームシフト変異による伸長型SSG1をコードする酵母では、Ssg1タンパク質が液胞膜に発現し、液胞内にSAMを蓄積することから、Ssg1はSAMを液胞内へと輸送するトランスポーターであると考えている。本研究ではSsg1のSAM輸送活性を検出することを第一の目標とした。 フレームシフト変異による伸長型SSG1を過剰発現するベクター(SSG1)もしくは空ベクター(E.V.)を導入した酵母株から単離した液胞膜小胞を用いてそれぞれにSAMを添加し、インキュベーションした後の小胞内SAM量を質量分析により測定した。E.V.小胞ではATPの有無にかかわらずSAM含量はほとんど変化しなかったのに対し、SSG1小胞では時間経過とともにATP依存的にSAM含量が増加した。このことから液胞膜小胞へのATP依存的なSAMの取り込み活性がはじめて検出され、これがSsg1によることが強く示唆された。また、プロトノフォアCCCPを添加した同様の実験ではSAM含量の増加が抑制されたことから、Ssg1によるSAMの液胞内への取り込みはプロトン濃度勾配を利用することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に計画していた殆どの解析は実施することができ、一定の成果を得た。しかし、輸送体の活性測定については協力研究者が確保できなかったため、その計画のみ2023年度上旬までに実施するよう変更した。そして、その解析も2023年度上旬には予定通り実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はSsg1依存的なSAMの液胞膜小胞への取り込み活性の検出に成功し、この活性がプロトン濃度勾配を駆動力とすることを示唆する結果を得た。SSG1株はSAMだけでなくS-アデノシル-L-ホモシステイン(SAH)も蓄積すると予想している。今後はSsg1のSAH輸送活性の有無についても検討する必要がある。さらに本トランスポーターの生理機能解明につなげたい。
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