2023 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子疾患動物評価系を用いたビタミンD誘導体の開発および 遺伝子治療法の確立
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22H02263
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
榊 利之 富山県立大学, 工学部, 研究員 (70293909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘高 敦史 帝京大学, 薬学部, 教授 (00214833)
中西 友子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10344863)
生城 真一 富山県立大学, 工学部, 教授 (50244679)
安田 佳織 富山県立大学, 工学部, 准教授 (70707231)
西川 美宇 富山県立大学, 工学部, 助教 (90749805)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ビタミンD / ビタミンD受容体 / ゲノム編集 / シトクロムP450 / 作用メカニズム / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
「ビタミンDおよびビタミンD受容体の作用メカニズムの全貌の解明」において、 歯のエナメル形成不全および眼の白内障が、6種の遺伝子組み換えラットの中でCYP27B1-KOのみにみられる現象であることを発見した。ビタミンDおよびVDRの作用の中で、CYP27B1-KOのみが欠損し、他のGMラットには影響のない作用はVDR非依存性1,25D3の作用であることから、歯のエナメル形成と眼の水晶体の維持にはVDR非依存性1,25D3の作用が重要であると考えられる。1,25D3-MARRS(別名ERp57あるいはPDIA3)を介した1,25D3の作用である可能性が高いと推測している。「Ⅱ型くる病VDR-H305Q患者に有効なビタミンD誘導体の開発」においては、VDR-H305Qのリガンド結合領域の両端に分割型ルシフェラーゼのN端側およびC端側を連結したキメラタンパク質を用いて多数のビタミンD誘導体の結合能を評価した。その結果、きわめて高い親和性を示す誘導体を見出すことができた。この誘導体はVDR-R274Lにも高い親和性を示し、VDR-R274L、VDR-H305Qを含む複数のII型くる病患者の治療薬になる可能性がある。「VDR-KOに基づくⅡ型くる病に対する遺伝子治療の有効性の検証」において VDR cDNAを挿入したVDR発現アデノウイルスベクターをVDR-KOラットに皮内投与したところ、顕著な発毛促進および脱毛抑制が見られた。1か月以上、効果が持続したが恒久的な治療を目的としたゲノム編集治療を検討する。Cas9のオフターゲット問題および特許の問題を回避するため、アデノウイルスベクターに他のCas分子種を搭載したシステムの構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ビタミンDおよびビタミンD受容体の作用メカニズムの全貌の解明」においては興味深いデータを多数得ており、予想以上の進捗が見られている。「Ⅱ型くる病VDR-H305Q患者に有効なビタミンD誘導体の開発」においては、VDR-H305Qにきわめて高い親和性を示す誘導体を見出すことができ、順調に進展している。「VDR-KOに基づくⅡ型くる病に対する遺伝子治療の有効性の検証」においてはCas9アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療で顕著な成果が見られた。ゲノム編集治療についてはCas9, gRNA, donorDNAすべてを含む一体型アデノウイルスベクターを構築したが、今年度はさほど進展はみられなかった。総合的に判断すると、おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
「ビタミンDおよびビタミンD受容体の作用メカニズムの全貌の解明」においてはトランスクリプトーム解析とプロテオーム解析が可能になったため、各種遺伝子組み換えラットの脳、皮膚、眼、腎臓などのマルチオミックス解析に注力したい。Cyp27B1-KOラットだけに見られる歯のエナメル形成不全や白内障、ビタミンD受容体-KOラットだけに見られる脱毛症状のメカニズムを解明したい「Ⅱ型くる病VDR-H305Q患者に有効なビタミンD誘導体の開発」においては、VDR-H305Qにきわめて高い親和性を示す誘導体を見出すことができたため、これをVDR-H301Qラットに投与し、II型くる病症状が改善されるか調べる予定である。「VDR-KOに基づくⅡ型くる病に対する遺伝子治療の有効性の検証」においてはCas9アデノウイルスベクターを用いたゲノム編集治療にとどまらず、他のCas分子種についても検討したい。Cas9特許の莫大なライセンス料問題の回避が難しいからである。
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[Journal Article] Synthesis of new 26,27-difluoro- and 26,26,27,27-tetrafluoro-25-hydroxyvitamin D3: Effects of terminal fluorine atoms on biological activity and half-life.2023
Author(s)
Kawagoe F, Mototani S, Yasuda K, Mano H, Takeuchi A, Saitoh H, Sakaki T, Kittaka A
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Journal Title
Chem Pharm Bull (Tokyo)
Volume: 71
Pages: 717-723
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Development of nanoluciferase-based sensing system that can specifically detect 1α,25-dihydroxyvitamin D in living cells.2023
Author(s)
Mano H, Kushioka T, Kise S, Nagao C, Iijima A, Nishikawa M, Ikushiro S, Yasuda K, Matsuoka S, Sakaki T.
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Journal Title
J Steroid Biochem Mol Biol.
Volume: 227
Pages: 106233
DOI
Peer Reviewed
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