2022 Fiscal Year Annual Research Report
青枯病菌が示すユニークな真菌寄生機構の解明と化学制御
Project/Area Number |
22H02275
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
甲斐 建次 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (40508404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 修治 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (80405357)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 青枯病菌 / 真菌寄生 / 厚膜胞子 / 細菌-真菌間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
青枯病菌Ralstonia solanacearumは、ナス科を中心とした250種以上の植物に感染し、青枯病を引き起こす植物病原性のグラム陰性細菌である。最近、土壌真菌類との相互作用研究の過程で、青枯病菌が真菌に厚膜胞子を誘導し、その器官を通じて真菌内に寄生する現象が発見された。本寄生には、リポペプチドralstonin類による厚膜胞子誘導が必須であることを応募者は見出している。しかし、ralstonin類がどのようなメカニズムで厚膜胞子を誘導するのか、厚膜胞子の誘導以降、青枯病菌がどのようにして真菌内に寄生するのかは不明である。真菌寄生は青枯病菌の潜伏機構である可能性が高く、この現象を化学的に制御できれば青枯病を未然に防ぐことができるはずである。そこで本研究では、青枯病菌が示すユニークな真菌寄生に潜む分子メカニズムを解明し、本寄生を化学的に制御する青枯病予防法の基礎を確立する。 真菌寄生に関わる青枯病菌の重要因子を探索する過程で、ralstoninによる厚膜胞子誘導の重要性が再確認された。さらに、既存の真菌内生細菌などで重要であることが報告されたきた生化学因子の重要性は否定された。欠損株の真菌寄生能の評価を通して、青枯病菌のクオラムセンシング機構が必須であることが確認された。さらに、その制御下にある現象と生化学因子の同定にも成功した。青枯病菌に感染された厚膜胞子の経時的な観察系の構築にも成功し、本寄生が真菌側に与える影響の本質を見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
はじめに、真菌寄生率を定量的に評価するアッセイ系の構築を達成した。その方法を使い、青枯病菌が真菌に寄生する上で、クオラムセンシング機構が重要であることをはじめて見出した。さらに、クオラムセンシング機構に制御された現象や生化学因子の同定にも成功し、寄生必須因子を同定した。また、寄生後に青枯病菌がどのような挙動を示すのかをモニターするアッセイ系の構築も達成したため、青枯病菌が真菌側に与える影響の一端を解明することができた。これらの成果の一部は2年目に遂行することを目指したものである。さらに、論文投稿も済ませており、現在revision中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Ralstonin合成遺伝子rmyA/rmyBの分子進化の解明:rmyA/rmyBと同一かホモログの遺伝子が、青枯病菌菌株のほとんどで保存されている。ホモログの一部は遺伝子サイズが縮小しており、生合成酵素遺伝子の退行的分子進化が起きている可能性が高い。これを調べるには、rmyA/rmyBホモログの産物であるリポペプチドを単離・構造決定し、生物活性を調べるという実直なアプローチが必須である。系統立てた解析を通して、ralstonin類などの青枯病菌リポペプチドにおける分子進化のメカニズム解明を行う。二次代謝の分子進化と異種微生物間の生命現象をリンクさせる世界初の研究にする。 これまでの課題を通して見出されたターゲットを化学制御することで、真菌寄生の制御を探る。最も有望なターゲットは、クオラムセンシング機構とralstonin産生である。クオラムセンシング阻害剤の候補は、応募者のこれまでの研究でいくつか見出している。Ralstonin産生阻害については、化合物ライブラリから候補化合物を見出す。このような候補化合物は、並行してプロジェクトとして進めているクオラムセンシング阻害剤の開発研究からも供給される予定である。
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Research Products
(5 results)