2023 Fiscal Year Annual Research Report
青枯病菌が示すユニークな真菌寄生機構の解明と化学制御
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22H02275
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
甲斐 建次 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (40508404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 修治 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (80405357)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 真菌寄生 / 細菌-真菌間相互作用 / クオラムセンシング / 青枯病菌 / 厚膜胞子 / 寄生 |
Outline of Annual Research Achievements |
青枯病菌Ralstonia solanacearumは、ナス科を中心とした250種以上の植物に感染し、青枯病を引き起こす植物病原性のグラム陰性細菌である。ralstonin類がどのようなメカニズムで厚膜胞子を誘導するのか、厚膜胞子の誘導以降、青枯病菌がどのようにして真菌内に寄生するのかは不明である。真菌寄生は青枯病菌の潜伏機構である可能性が高く、この現象を化学的に制御できれば青枯病を未然に防ぐことができるはずである。そこで本研究では、青枯病菌が示すユニークな真菌寄生に潜む分子メカニズムを解明し、本寄生を化学的に制御する青枯病予防法の基礎を確立する。 Ralstonin合成遺伝子rmyA/rmyBと同一かホモログの遺伝子が、青枯病菌菌株のほとんどで保存されている。ホモログの一部は遺伝子サイズが縮小しており、生合成酵素遺伝子の退行的分子進化が起きている可能性が考えられた。この現象の重要性を調べるには、rmyA/rmyBホモログの産物であるリポペプチドを単離・構造決定し、生物活性までを系統的に進めた。その結果、予想通り本生合成遺伝子長に変化が生じた株が複数存在し、ralstonin類を含めた青枯病菌リポペプチドにおける分子進化のメカニズムを複数例発見することに成功した。二次代謝の分子進化と異種微生物間の生命現象をリンクさせる世界初の研究である。さらにQS阻害剤が真菌寄生能を制御しうるかどうかを検証したところ、それを強く示唆するデータを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の設定どおりに各課題が進行しているため。ただし、消耗品費と受託解析費などの高騰により一部の解析が当初通りに進めることができない。
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Strategy for Future Research Activity |
Ralstonin類の生合成に関与する新たな遺伝子を見出すことに成功したので、その機能解析を進める。それにより、Fusarium厚膜胞子誘導に対するralsotoninの構造要求性が明らかにできると期待される。また、QS阻害剤の真菌寄生への効果をより詳細に調べる予定である。加えて、青枯病菌の真菌寄生に関与する新規因子の探索を進め、本寄生の成立に必須な因子をなるべく多く発見する。
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