2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of action of compounds derived from dietary ingredients in improving cognitive function using multidimensional evaluation methods
Project/Area Number |
22H02280
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
繁森 英幸 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70202108)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮前 友策 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30610240)
平 修 福島大学, 食農学類, 教授 (30416672)
落石 知世 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30356729)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | アルツハイマー型認知症 / アミロイドβ / ヒト膵島アミロイドポリペプチド / clovamide / イメージングMS / SAMP8 / HGF |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、食素材由来ポリフェノール化合物にアルツハイマー型認知症(AD)の毒素であるアミロイドβ(Aβ)凝集阻害活性、Aβからの神経細胞保護作用、記憶障害モデルマウスを用いた記憶障害改善作用のあることを見出してきた。そこで本研究では多元的評価法を用いた認知機能改善に関わる食素材由来化合物の機能を解明することで、ADの予防に関わる基礎研究に貢献することを目的とする。まず、Aβ凝集阻害活性試験により、clovamide類、piceatannol類、p-terphenyl化合物、meroterpenoid類、anthocyanin類に顕著な活性を見出した。また、これらの化合物にはヒト膵島アミロイドポリペプチドhIAPPの凝集阻害も有することを見出した。また、clovamideがAβやH2O2からの神経細胞保護効果を有することを見出した。さらに、clovamideによるin vivoでの認知機能改善効果を解析するために、老化促進マウスSAMP8を用いて、低脂肪食と高脂肪食を与えた時のSAMP8脳内Aβの発現変化を、大脳および海馬のホモジネートを用いてELISA法により解析したが検出には至らなかった。また、このマウスの脳切片のイメージングMS解析の結果、Aβは検出できなかったが、カテコールアミン類については両者で差が認められた。一方で、AD等の神経変性疾患に効果がある肝細胞増殖因子(HGF)の産生を促進する食素材由来化合物をサンドイッチELISA法を用いて調べた結果、clovamideならびにcyanidin-3-glucoside(C3G)に顕著な活性が見出された。さらにC3GについてHGF産生促進活性に関わる経路の解析を行った結果、C3Gがβ2ARに作用することにより、PKA経路を活性化してHGF遺伝子の転写を誘導することでHGF産生を促進していることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多元的評価法を用いた認知機能改善に関わる食素材由来化合物の探索においては、アミロイドβ(Aβ)凝集阻害活性試験により、clovamide類、piceatannol類、p-terphenyl化合物、meroterpenoid類、anthocyanin類に顕著な活性を見出した。これらの化合物にはヒト膵島アミロイドポリペプチドhIAPPの凝集阻害も有することを見出した。また、サンドイッチELISA法を用いた肝細胞増殖因子産生促進活性化合物を探索した結果、clovamideならびにcyanidin-3-glucosideに顕著な活性が見出された。さらに、clovamideがAβやH2O2からの神経細胞保護効果を有することを見出した。一方で、clovamideによるin vivoでの認知機能改善効果を解析するために、老化促進マウスSAMP8を用いて、低脂肪食と高脂肪食を与えた時のSAMP8脳内Aβの発現変化を、大脳および海馬のホモジネートを用いてELISA法により解析したが検出には至らなかった。また、このマウスの脳切片のイメージングMS解析の結果、Aβは検出できなかったが、カテコールアミン類については両者で差が認められた。以上より、AβおよびhIAPP凝集阻害活性を有する食素材由来化合物の探索は順調に進行しており、新たなHGF産生促進活性試験でも活性化合物の探索に成功している。一方で、老化促進マウスを用いた実験では、脳内におけるAβそのものを検出することはできなかったが、脳内のカテコールアミン類の変化を観測することに成功している。したがって、本研究はおおむね順調に進行しているものと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
アミロイドβ(Aβ)およびヒト膵島アミロイドポリペプチドhIAPP凝集阻害活性試験を用いて食素材由来化合物を探索してさらなる活性化合物を見出す。これに加えてAβおよびhIAPP脱凝集活性化合物も探索し、ドッキングシミュレーションを用いてAβおよびhIAPPにおける凝集阻害・脱凝集物質の作用結合部位を特定する。また、肝細胞増殖因子産生促進活性については、cyanidin-3-glucosideの様々な類縁化合物を用いて構造活性相関の解明を進めるとともに、β2ARに直接結合する可能性を、実験的および情報科学的、両面のアプローチにより解析を行うとともに、clovamideの作用機序の解明も行う。さらに、オートファジー誘導活性を示す食素材由来化合物の探索を行う。 一方で、老化促進マウスを用いた実験では、低脂肪食および高脂肪食をさらに長期間与えて作成したSAMP8マウスにclovamideを経口投与し、脳内のAβの発現変化をイメージングMSやELlSA法により解析する。これにより、Aβの脳内濃度の減少等の変化を引き起こすことが可能な濃度を決定し、実際の認知機能への影響を行動学的に解析する。
|
Research Products
(8 results)