2023 Fiscal Year Annual Research Report
化学感覚の老化による機能低下のメカニズム解明とその抑制法の確立
Project/Area Number |
22H02292
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
成川 真隆 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (50432349)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 加齢 / 嗅覚 / 嗅上皮 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
食事をおいしく味わう上で、においは重要な要素となる。食事から感じるにおいによって摂食意欲が刺激され、においを感じながら食べることでおいしさが増す。また、においによって食べ物の好き嫌いが分かれてしまうほど、においは食の嗜好性に大きな影響を与える。 超高齢社会に突入した現代、高齢者の健康維持は社会的に重大な関心事である。年を取ると食が細くなってしまう。この原因の一つとして、加齢による嗅覚機能の変化があげられる。そのため、嗅覚機能の維持は健康的な生活を送る上で重要になる。しかし、どのようなメカニズムで加齢により嗅覚機能が変化してしまうのか、その詳細には不明な点が残っている。そこで、本年度は主に老化によるにおい感受性の変化とその要因に関して検討を進めた。 若齢群として13~15週齢、高齢群として120~121週齢の雄マウスを用いた。まず、嗜好性と忌避性物質に対するにおい行動試験を実施し、加齢による嗅覚感受性の変化を評価した。その後、嗅上皮中における代表的な嗅覚関連遺伝子の発現量を解析した。 忌避性物質に対するにおい行動に若齢と高齢群の間で差はなかったが、嗜好性物質に対する高齢マウスのにおい行動が若齢マウスに比べて有意に増加していた。次いで嗅上皮における嗅覚関連遺伝子のmRNA発現量の変化を測定した。その結果、高齢マウスの嗅上皮において一部遺伝子のmRNA発現量が低下していた。この結果は、加齢に伴い嗅覚関連遺伝子の発現量が変化したことがにおい行動変化の要因となる可能性を示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の計画に関しては上記研究実績の概要に記した通り、予定通り進行している。3年目についても順調に進むことが予想される。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は主に嗅覚機能を解析対象として検討を進め、老化によるにおい表現型に関する知見を集積できた。 2024年度も唾液成分が味感受性に及ぼす影響についても引き続き検討を進める。また現在、様々な抗老化食品を摂取させたマウスの飼育を継続している。実際にこれら成分の摂取が老化による味やにおい表現型変化において効果を有するのか、2024年度以降重点的に検討を進める。
|