2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the molecular mechanism of disease resistance through abscisic acid receptor in wheat
Project/Area Number |
22H02297
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 昌憲 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (50455333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 泰史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70342756)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アブシシン酸 / 受容体 / サリチル酸 / 耐乾性 / 病害抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物ホルモンのアブシシン酸(ABA) 受容体を過剰発現させたコムギ(TaPYLox)は耐乾性を示す。ABAと病害抵抗性に関わるサリチル酸(SA)は互いがトレードオフの関係にあるとされていたが、TaPYLoxはサリチル酸(SA)を過剰蓄積して、うどんこ病菌に抵抗性を示す形質を獲得していた。この形質は導入したABA受容体によってABAシグナルが向上したことが要因ではなく、導入したTaPYL4タンパク質の蓄積量に依存して、内生SAが蓄積していた。 TaPYLoxのSA高蓄積の分子メカニズムを明らかにするために、SA生合成の鍵転写因子の遺伝子発現を解析した結果、SARD1転写因子の遺伝子発現がうどんこ病菌感染前から高く発現していた。SA生合成においては、TaPYLoxにて、イソコリスミ酸を経由する生合成鍵酵素遺伝子のICS2が強く発現しており、また、フェニルアラニンを前駆体とするSA生合成酵素遺伝子であるPAL1遺伝子の発現も上昇していた。興味深い事に、TaPYLoxはうどんこ病菌感染後には、SARD1転写因子の発現が減少し、それに伴って、ICS2やPAL遺伝子の発現が減少し、これと一致する形で内生SA量が減少した。このことからも、TaPYL4受容体タンパク質はSARD1転写因子を介して、SAの内生量を制御していることが明らかとなった。 一方、コムギABA受容体がどのようにSA生合成を制御しているかを明らかにするために、TaPYLoxで導入しているTaPYL4::GFPのGFPタグを用いてプルダウンを行い質量分析計で、TaPYL4と相互作用する因子の特定を行った。さらに、様々なコムギcDNAライブラリーを構築して、TaPYL4受容体と相互作用するタンパク質を同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コムギABA受容体TaPYL4はSARD1転写因子の遺伝子発現を介して、ICS2酵素遺伝子およびPAL酵素遺伝子の発現を誘導していることが明らかとなった。ABA受容体とSARD1転写因子の間を埋める因子を特定したいと考え、本年度は、酵母ツーハイブリッド法(Y2H)により、TaPYL4と相互作用する因子の特定に成功した。昨年度のプルダウン後における質量分析計(IP-MS)で検出されたタンパク質とオーバラップするタンパク質も同定する事ができた。病害応答に関連する因子の単離のほか、予想外にも光合成や光化学系に関するタンパク質が同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
単離できたタンパク質がSAに応答するのか?あるいは病害応答性に関わるのかを解析する。ABA受容体TaPYL4とY2HやIP-MSで同定できたタンパク質を大腸菌にて発現させ、in vitroでの相互作用の検証を行う。大腸菌でのタンパク質発現が困難な場合は、タバコを用いた一過的な発現系により相互作用の有無を解析する。コムギのTaPYL4以外のABA受容体やシロイヌナズナのABA受容体との相互作用について選択性があるかどうかを生化学的な実験によって検証する。また、SARD1の転写因子の制御にどのように関わっているかを追及する。 興味深い事に、TaPYLoxはうどんこ病菌感染後には、SARD1転写因子の発現が減少し、それに伴って、ICS2やPAL遺伝子の発現が減少し、これと一致する形で内生SA量が減少した。TaPYLoxではPR1やPR4遺伝子はうどんこ病菌感染後にさらに遺伝子発現が上昇した。このことから、TaPYLoxにおけるうどんこ病菌に対する抵抗性はSA以外の他の因子も関わっている可能性が示唆されたため、SAと類似の作用を示すN-ヒドロキシピペコリン酸の生合成酵素遺伝子や内生NHP量の動態を解析し、TaPYL4受容体の関与を明らかにする。
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