2022 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム結合蛋白質を介するリソソーム膜の損傷応答機構の分子基盤解明
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22H02302
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 秀樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30314470)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リソソーム / カルシウム / ESCRT |
Outline of Annual Research Achievements |
リソソームは細胞内消化を担う膜で覆われた細胞小器官である。限界膜が損傷したリソソームからは、加水分解酵素や水素イオン、カルシウムイオンなどが漏出する。研究代表者らは、損傷したリソソームにカルシウム結合蛋白質ALG-2が動員される現象を見出しており、リソソームの損傷を誘発した細胞においてALG-2の近傍に存在する蛋白質を同定している。本年度は、その中でLIP5に着目し以下を解析した。 (1) LIP5の免疫染色実験により、LIP5がリソソーム損傷を誘導した細胞でリソソームに動員されることを観察した。LIP5のリソソーム動員におけるカルシウムイオンの役割を明らかにする目的で、カルシウムキレータであるBAPTA-AMを処理したところ、LIP5のリソソーム動員が抑制された。一方、ALG-2のノックアウト細胞でもリソソーム損傷刺激後のLIP5のリソソーム局在が観察された。 (2) LIP5の発現抑制がその相互作用蛋白質であるVPS4A/Bの損傷リソソームへの局在に与える影響を解析した。VPS4A/Bはリソソーム損傷刺激を加えた細胞においてリソソームに局在したが、LIP5を発現抑制するとリソソーム局在が観察されなかった。 (3)LIP5発現抑制細胞のリソソーム損傷刺激後の細胞死誘導に関して、ウエスタンブロット解析により発現抑制していない細胞と比較した。その結果、LIP5の発現抑制細胞はリソソーム損傷刺激後にカスパーゼ3/7の基質蛋白質の切断断片が多く検出され、アポトーシスが誘導されていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リソソーム損傷を誘発した細胞においてALG-2の近傍蛋白質として同定された蛋白質が、カルシウム依存的に損傷リソソームに局在することを明らかにし、国内学会で発表できる成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
LIP5を含めALG-2近傍蛋白質として同定した蛋白質の多くは、カルシウム依存的に損傷リソソームに動員されるものの、ALG-2ノックアウト細胞でもリソソームに動員されることから、ALG-2以外のカルシウム結合蛋白質の関与が予想される。損傷リソソームへの動員が報告されている、また予想されるカルシウム結合蛋白質の発現抑制や阻害剤の添加がLIP5などの損傷リソソーム動員に与える影響を解析する。また、LIP5のリソソーム損傷応答における役割の解明を進める。さらに、筋萎縮性側索硬化症の発症に関連するカルシウム結合蛋白質の変異体の発現がリソソーム損傷応答に与える影響を解析する。
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Research Products
(1 results)