2023 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic study on heading time instability by field multi-omics analysis in wheat and barley
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22H02314
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加藤 鎌司 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 特命教授 (40161096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 英隆 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (30379820)
松山 宏美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 主任研究員 (50508140)
高橋 飛鳥 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (60502929)
小島 久代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (70547728)
島崎 由美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 上級研究員 (80414770)
岡村 夏海 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 主任研究員 (50738573)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ムギ類 / コムギ / オオムギ / 出穂期不安定性 / フィールド・マルチオミックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究において、コムギ系統「超極早生」の出穂期不安定性に関わる早生遺伝子PCL1(概日時計遺伝子)がデュラムコムギの超極早生化に利用可能なことを明らかにした。ただし、「超極早生」由来のPCL1を保有するにもかかわらず超極早生を示さない系統が存在したことから、PCL1と相互作用して超極早生化を可能にする新規早生遺伝子exh-2がデュラムコムギにも存在することが明らかになった。exh-2が分離すると考えられたデュラムコムギF2集団を供試し、DArT-seq、MIG-seq、dpMIG-seqなどの手法によりSNPsを検出し、出穂期変異と密接に関係するものを特定した。その結果、exh-2の候補領域として3B染色体短腕、5B染色体長椀、6B染色体短腕が検出され、これら3つのQTLが晩生型ホモの個体は早生化しないことが明らかになった。当該領域に出穂期QTLが座乗するという報告例がないことから,これらは新規出穂期QTLsであると考えられた。 オオムギの出穂期関連遺伝子が生長相転換および生殖成長に及ぼす影響はあまり明らかになっていないため、二条品種「ユメサキボシ」と六条品種「早木曽2号」の遺伝的背景を有する準同質遺伝子系統(各4系統)を国内3地点で圃場栽培し、幼穂形成ステージ、幼穂長、及び主茎長を調査した。その結果、昨年度と同様に、春播性遺伝子Vrn-H1と光受容体遺伝子HvPhyCは全ての形質において相互作用が見られた。一部の系統ではこれら3形質の進展と出穂の早晩が対応せず、その原因として節間伸長の開始時期や速度が考えられた。したがって、幼穂形成の進展と出穂期を別々に制御して出穂期安定化を図る可能性が示唆された。国内3地点における遺伝子の効果は類似していたが、岡山、つくばと比べて上越ではVrn-H1の効果が大きかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先述の通り、デュラムコムギにおいて新規早生遺伝子exh-2の候補領域3か所を検出することに成功しており、今後行う実験の準備・実施状況も順調である。 オオムギについては、国内3地点における調査・サンプリングが無事完了し、出穂期関連遺伝子が生長相転換や生殖成長に及ぼす作用を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
デュラムコムギにおいて新規早生遺伝子exh-2の候補領域3か所(3B、5B、及び6B染色体)を見出すことができたので、新たに3B染色体、5B染色体、もしくは6B染色体の候補領域のみが分離する大規模な分離集団を育成し、候補領域の絞り込みと原因遺伝子の特定を進める予定である。さらに、exh-2とPCL1の相互作用及び出穂期不安定化機構を解明する予定である. オオムギについてはVrn-H1とHvPhyCの相互作用や、出穂期関連遺伝子によって幼穂形成と出穂期に及ぼす作用が異なることが明らかになったので、そのメカニズムについてRNA-seqによる網羅的な遺伝子発現解析により解明を試みる。また今後、エピジェネティクス解析や、播種期移動試験及び加温試験による詳細な表現型解析も予定している。
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