2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of functional SNPs of crops and its application for identification of useful genes
Project/Area Number |
22H02321
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
平川 英樹 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, 主任研究員 (80372746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 康之 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (80374619)
増田 税 北海道大学, 農学研究院, 教授 (60281854)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 機能的SNP / ウイルス抵抗性遺伝子 / 原因遺伝子 / ゲノムワイド解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子機能に直接的に影響を及ぼしうる「機能的SNP」を多様な作物について明らかにし、次世代シークエンサーから得られる膨大な量のSNPの中から形質に関連性があると考えられるものを絞り込むことで、原因遺伝子の同定を目指す。さらに、優良形質などの選抜の高精度化を行い、育種の効率化を図るため、本研究では「機能的SNP」に関する情報基盤の整備を行なう。総務省統計局で公表されている作付面積と収穫量が多い31植物種を含むNCBIから入手した201植物種のゲノムデータのうち、遺伝子配列が公開されている119種について、UniProtKB、Araport、EggNOGに対する配列相同性解析を行い、トップヒットを得た。さらに、RGAuguryを用いてストレス耐性遺伝子候補を調べ、得られた情報をアノテーション表に集約している。残りの82種についてのゲノム配列は公開されているが、遺伝子配列が公開されていないため、簡便かつ迅速、高精度な遺伝子予測手法を検討した。「機能的SNP」の開発に関しては、これまでビーズアレイを用いて「機能的SNP」を開発したトマトを対象として開始し、SNPアノテーションを行った。次に、現在、解読を進めている高精度なホウレンソウについて「機能的SNP」を明らかにし、ウイルス抵抗性遺伝子の原因遺伝子の同定を試みる。一方、キュウリモザイクウイルス黄斑系(CMV-Y)に対する抵抗性系統と感受性系統に対する接種試験を行ない、「機能的SNP」の有用性を調べる。そのために、まずは、CMV-Y抵抗性形質が分離する系統03-009の抵抗性株および感受性株それぞれ20個体のゲノムDNAをバルク化し、リシークエンスデータを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.染色体レベルでゲノム配列が解読された作物についてのゲノム情報の整備:総務省統計局で公表されている作付面積と収穫量が多い31植物種のうち、当初解読されていなかったゴボウとネギ、サトウキビのゲノム配列が公開されていた。それらのうち、染色体レベルで解読されたものは27種であり、うち8種では遺伝子が公開されていなかった。スキャフォールドレベルで解読されたのは3種、ゲノム配列が解読されていないものはピーマンのみであった。これらを含め、NCBIで公開されている201種のゲノム配列を入手した。そのうち、遺伝子配列が公開されていた119種について、非冗長化アミノ酸配列データベースUniProtKBとシロイヌナズナのアノテーションデータベースAraport、オルソログデータベースEggNOGに対する配列類似性検索を行なった。遺伝子が公開されていなかった82種について、スイカ野生種(Citrullus lanatus subsp. cordophanus;GCA_018142915.1)に対して簡便かつ迅速、高精度な遺伝子予測法を検討した。 2. ストレス耐性遺伝子候補(病害抵抗性遺伝子)の整備:上記1で入手した201種におけるストレス耐性遺伝子候補をRGAuguryを用いて調べた。 3. 品種間の多型解析に基づく機能的SNPの整備:以前にビーズアレイを用いて機能的SNPを開発したトマトを対象として、NCBIのSRAデータベースで公開されている栽培種5種、マイクロトム6種、野生種6種のリシークエンスデータを入手し、SNPアノテーションを行った。 4. ホウレンソウにおける病害抵抗性の解明:キュウリモザイクウイルス黄斑系(CMV-Y)に対する抵抗性形質が分離する系統03-009の抵抗性株および感受性株それぞれ20個体のゲノムDNAをバルク化し、リシークエンスデータを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.染色体レベルでゲノム配列が解読された作物についてのゲノム情報の整備:NCBIから入手した201植物種のうち、遺伝子配列が公開されていた119種について、各種データベースへの配列類似性、ストレス耐性遺伝子候補をまとめたアノテーション表を作成する。RNA-Seqや既知遺伝子を用いて簡便かつ迅速、高精度な遺伝子予測手法を確立し、遺伝子配列が公開されていない82種の遺伝子予測を進める。ペプチドの予測も行う。収集したアノテーション情報を公開するデータベースを構築する。 2. ストレス耐性遺伝子候補(病害抵抗性遺伝子)の整備:新規に追加された植物種に対してストレス耐性遺伝子候補を探索する。 3. 品種間の多型解析に基づく機能的SNPの整備:トマト栽培種5種、マイクロトム6種、野生種6種のSNPアノテーションを行い、SnpEffによりHIGH、MODERATEなインパクトをもつSNPに対し、遺伝子の上流および下流に位置するSNP、ナンセンス変異を生じるSNP、非同義置換を生じるSNPに分類する。非同義置換については、機能ドメイン上および立体構造上のSNPの位置、活性部位への影響を調べることで、「機能的SNP」を定義し、形質との関連性について考察する。現在、高精度化を進めているホウレンソウのゲノム配列を用いて「機能的SNP」を開発する。他の植物種についても「機能的SNP」を整備する。 4. ホウレンソウにおける病害抵抗性の解明:CMV-Y抵抗性形質が分離する系統03-009の抵抗性および感受性株それぞれ20個体のゲノムDNAをバルク化してシークエンスしたリードを用いてQTL-Seq解析を行い、CMV抵抗性遺伝子座の同定を試みる。次いで、精密マッピングを行い候補遺伝子を同定する。引き続き、ウイルス誘導ジーンサイレンシング(VIGS)を用いて、候補遺伝子の機能検証を行う。
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