2022 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental response mechanisms of purple sweet potato yield and quality based on field trials in temperate and subtropical zones.
Project/Area Number |
22H02327
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂上 潤一 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (70399369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 理恵 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 上級研究員 (00315384)
境垣内 岳雄 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 上級研究員 (00414847)
末松 恵祐 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 研究員 (30807996)
岡田 吉弘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 上級研究員 (70391456)
眞玉橋 將央 沖縄県農業研究センター, 本所作物班, 研究員 (70913656)
川田 ゆかり 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 研究員 (80884981)
赤木 功 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (40500004)
梅田 周 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 研究員 (10808009)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | GXE / 遺伝資源 / アントシアニン / でん粉 / 遺伝解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、豊富な紫カンショ遺伝資源を活用し、温帯の南九州から亜熱帯の沖縄にかけて4試験地を配置する多環境試験を展開し、カンショの収量、Anやデンプンなどの品質について遺伝子型と環境の交互作用(GxE)解析を実施した。 Finlay・WilkinsonのGxE分割法によるデータ解析によって、供試した13品種の上イモ個数において遺伝子型と環境型の間に交互作用が認められた。その個数は、地域間で種子島が最も多く、沖縄に比較して有意に多かった。また、品種間においても上イモ個数の有意な品種間差異が認められた。同様に上イモ収量においても遺伝子型と環境型の間に交互作用が認められた。その収量は、鹿児島が最も高く、宮崎、沖縄との間に有意差が認められた。 イモの乾物率およびアントシアニン色価においても、品種間の有意な差異が認められた。また、2次元データに集約した主成分分析から、多数の指標を統合した総合的な指標を作成した。さらに、観測対象をグループ分けして、それぞれの形質と品種の特徴を明らかにした。 一方で、供試した13品種のうち、5品種(アヤムラサキ、ムラサキマサリ、ちゅら恋紅、ちゅらかなさ、ふくむらさき)について、でん粉の糊化特性をラビットビスコアナライザーで測定した。この結果、5品種いずれも糊化温度は沖縄、種子島、鹿児島、宮崎の順番で高くなった。さらに、ブレークダウン(最高粘度と最低粘度の差)についても栽培地域による影響が明確に認められ、沖縄、種子島、鹿児島、宮崎の順番でブレークダウンの値が大きくなった。このように、栽培環境により、でん粉の糊化特性が大きな影響を受けることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、温暖化などの環境変化にも対応できる紫カンショ育種の構築に向けて、以下の4つを実施する計画を立てた。①多環境下での紫カンショ遺伝子型の収量性の解析、②多環境下での紫カンショ遺伝子型の品質特性の解析、③GxE解析によるカンショ遺伝子型との環境型の交互作用の解明、④カンショ収量の環境応答性に関与する遺伝解析である。そのうち初年度は、①、②および③の課題を中心に取り組んだ。本年度の試験では、サツマイモ栽培で発生する基腐れ病が心配されたが、十分な管理の下その発生は抑えられ十分なデータを収集することが出来た。また、生育・収量データに加えて、環境データについてもそれぞれの地点で収集ができている。さらに、2年目の研究に向けた準備も整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
①多環境下での紫カンショ遺伝子型の収量性の解析(境垣内・坂上・梅田・眞玉橋・岡田・末松):1年目に続き2年目も、宮崎、鹿児島、種子島、沖縄の4サイトで13品種のサツマイモ遺伝子型の栽培を行う。各サイトとも、5月に植付けた後、10月に収穫して、収量構成要素(塊根の数および1個重)や塊根の乾物率やデンプン含率を調査する。環境データとしては、気象に関する項目(気温、日射量、降水量)や土壌に関する項目(地温、pF、物理性、化学性)を調査する。 ②多環境下での紫カンショ遺伝子型の品質特性の解析(倉田・川田・境垣内):1年目に続き2年目も、各サイトで栽培したカンショのAnとデンプンの解析を行う。Anは塊根サンプルから希硫酸で抽出した後に、分光光度計やHPLCにより、抽出液のAn色価やAn組成を分析する。デンプンは塊根を破砕、水洗、ろ過した後、沈殿物を乾燥させる常法で回収する。回収したデンプンはRVAで糊化開始温度、最高・最低・最終粘度を測定し、デンプンの老化特性やゲル化特性を明らかにする。 ③GxE解析によるカンショ遺伝子型との環境の交互作用の解明(坂上 他 分担者全員):1年目に続き2年目も、圃場栽培試験を行う。1年目から3年目までは予備的な解析を行い、4年目に試験のすべての結果を統合したGxE解析を行う。また、交互作用の主成分分析を行い、相加主効果相乗交互作用(AMMI)モデルを示す。収量と同様の方法で、カンショのAnやデンプンなどの品質のGxE解析も行う。 ④カンショ収量の環境応答性に関与する遺伝解析(岡田、末松、眞玉橋、境垣内):1年目に選定した両親に由来するF1集団100系統を2年目に宮崎サイトで増殖する。3年目に行う各系統のジェノタイピングのGRAS-Di解析に応用する。
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Research Products
(1 results)