2023 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of a novel sex determinant gene and elucidation of the diversification mechanism of sex expression in melon
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22H02333
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉岡 洋輔 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50462528)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 雑草メロン / 花性 / 主枝成性 / 性決定 / 果実形態 / エチレン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は(1)遺伝解析材料の育成、(2)戻し交雑後代を用いたQTLの位置と効果の再検証、および(3)多様な遺伝的背景をもつメロン遺伝資源の性表現の調査を行った。具体的な研究内容とその成果は下記のとおりである。 (1)半促成栽培および抑制栽培において、雑草メロンを1回親、アールス系メロンの代表品種であるアールスフェボリット春系3号等を反復親とする戻し交雑を進めた。 (2)ポジショナルクローニング用マーカーを用いて、戻し交雑後代の遺伝子型と性表現の関連を調査した結果、第3染色体上の主枝成性QTL(Opbf3.1)の候補領域が約0.2 Mbまで絞り込まれた。また、その領域に含まれる25個の遺伝子のうち、エチレン応答性転写因子をコードするMELO3C010784とエチレン生合成を律速するACC合成酵素をコードするCmACS11において主枝成性と非主枝成性個体間で非同義置換が検出されたことから、これら2つの遺伝子が主枝成性に関与する有力な候補であると考えられた。一方、第8染色体上の雄蕊形成関連QTL(tpbf8.1)には既報の性決定関連遺伝子であるCmCPR5が存在し、この遺伝子において両性花個体と雌花個体間で非同義置換が検出されたことから、雄蕊形成関連遺伝子はCmCPR5であることが強く示唆された。 (3)多様な遺伝的背景をもつメロン遺伝資源100系統の性表現と主要な性決定遺伝子の1つであるCmACS7の遺伝子型を調査した結果、表現型が調査できた83系統のうち13系統で遺伝子型から推定される花性(雌花または両性花)と実際の花性が一致しなかった。ただし、供試した遺伝資源のうち16系統が全雄花性を示すなど、環境条件(特に長日)が花性に大きな影響を与えた可能性が高いことから、次年度も引き続き同様の調査を行い、本年度の結果を再検証することが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、本年度は戻し交雑等による遺伝解析材料の育成を進め、昨年度に設計したポジショナルクローニングのためのマーカーを用いて戻し交雑集団の遺伝子型と表現型の関連性を調査し、本研究が対象とする性決定遺伝子座の位置を絞り込むとともに、有力な候補遺伝子を決定することができた。また、多様な遺伝資源を用いた解析により、新規性決定遺伝子を有する可能性のあるメロン遺伝資源が複数発見されるなど、興味深い結果も得られた。以上の点から、本課題の現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は(1)戻し交雑等による遺伝解析材料の育成を進めるとともに、(2)本年度に開発したポジショナルクローニング用マーカーを用いて、戻し交雑後代の性表現と遺伝子型との関連を調査し、QTLの位置と効果を再検証する。なお、雑草メロンの雄蕊形成に関与する第8染色体上の遺伝子座については、その原因遺伝子がCmCPR5であることが強く示唆されることから、次年度以降は第3染色体上の遺伝子座のみを対象にする。また、(3)多様な遺伝的背景をもつメロン遺伝資源約100点の性表現を再度調査するとともに、既報の性決定遺伝子のシーケンス解析を行う。
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