2023 Fiscal Year Annual Research Report
Molucular mechanisms of the induction and suppression of novel NLR-type plant resistance by bromovirus infection
Project/Area Number |
22H02346
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三瀬 和之 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90209776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺内 良平 京都大学, 農学研究科, 教授 (50236981)
寺石 政義 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80378819)
峯 彰 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80793819)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ブロモウイルス / イネ / タバコ / NLR遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
BMV抵抗性に関わるイネNLR遺伝子の産物RBM1はタバコにおいて非病原力因子(Avr)の3aタンパク質非存在下でも弱い細胞死を誘導した。その結果、(A) イネ由来のRBM1を導入した形質転換タバコの作出や(B) BMV-3aおよびRBM1と相互作用するベンサミアナタバコ因子の同定が困難であった。(C)昨年度得られた第2の新規BMV抵抗性遺伝子RBM2の候補として3遺伝子をそれぞれBMV感受性イネに導入し、形質転換系統が作出されていた。これらの系統を複数個体ずつ生育させBMVを接種した結果、2候補遺伝子(NLR1とNLR3)では感受性のままであった。一方、1遺伝子(NLR2)では、供試8ラインの全個体においてBMVが全身感染せず、抵抗性であった。このNLR2はアグロ浸潤-細胞死アッセイにおいて3aタンパク質との相互作用が示唆されていたので、抵抗性イネ品種Shoni中のRBM2をCRISPR/Cas9によってノックアウトしたイネ系統を分担研究者の寺内教授が研究者を兼任する岩手生物工学センター(IBRC)との共同で作出していた。4ラインにおいて変異をバイアレリックまたはホモに持つ個体全てがBMV感受性であった。この結果、NLR2は2個目の新規BMV抵抗性遺伝子の「RBM2」と同定され、今年度の最大の成果となった。RBM2に認識されるAvrは3aタンパク質で、そのC端近傍のα-ヘリックス領域が重要であることが判明した。RBM1ではコシヒカリ(抵抗性)とShoni(感受性)の間、RBM2ではShoni(抵抗性)と密陽23号(感受性)の間で領域交換実験によって、Avrの認識に関わる重要な領域を狭められた。(D)に関しては、Brendoliseらによる逆遺伝学的手法のためのplasmidを入手後、個々にアグロバクテリウムに導入しタバコの候補遺伝子群をサイレンシングできる準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イネ由来のBMV抵抗性NLR遺伝子の産物RBM1にはタバコにおいてAvrの3aタンパク質非存在下でも細胞死を誘導する自己活性化機能が確認され、(A) イネ由来のRBM1を導入した形質転換タバコの作出や(B) BMV-3aおよびRBM1と相互作用するベンサミアナタバコ因子の同定が困難であった。そこで、このような自己活性化のメカニズムや関与する部位の特定等を検討した後にこれらの課題を進めるように方針を転換し、(A)と(B)をともに保留することとした。(C)昨年度得られたRBM2の3候補遺伝子の形質転換イネについてBMV感受性を調査した結果、2候補遺伝子では感受性のままであったのに対して、1遺伝子(NLR2)では、得られた8ラインの全個体でBMVの全身感染が認められず、抵抗性の付与が確認された。また、このNLR2は予備実験において3aタンパク質との相互作用が示唆されていたので、抵抗性イネ品種Shoni中のRBM2をCRISPR/Cas9によってノックアウトしたイネをIBRCとの共同研究で昨年度から作出していた。4ラインについて変異をバイアレリックまたはホモに持つ個体の全てがBMV感受性となっていた。以上の結果、NLR2はBMVに抵抗性を示す2個目の新規NLR遺伝子の「RBM2」と同定され、今年度の最大の研究成果となった。RBM1ではコシヒカリ(抵抗性)とShoni(感受性)の間、RBM2ではShoni(抵抗性)と密陽23号(感受性)の間で領域交換実験によって、Avrの認識に関わる重要な領域を狭められた。(D)に関しては、Brendoliseらによる逆遺伝学的手法のためのplasmidを入手後、個々にアグロバクテリウムに導入しタバコの候補遺伝子群をサイレンシングできる準備が整った。RBM1とRBM2の解析に注力したため、(E)のCYBV変異体の感染実験を行うことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
RBM1、RBM2ともにAvrとしてBMV 3aタンパク質を認識し抵抗性となることがタバコの細胞死アッセイで示唆されているが、BMVがイネに感染する際に同様に認識され抵抗性となっているかは、明白でない。この証明のため、RBM1やRBM2による認識を回避し感染できる変異体BMVの獲得を試みる。RBM1では、BMV 3aタンパク質のN端の小さな領域がAvrとして働くが、近縁のbroad bean mottle virus (BBMV)の3aタンパク質はAvr活性がない。そこで、BMV 3aのAvr領域のみをBBMVの相当領域で置換したMPを持つキメラBMVの感染性を調べる。また、大部分がIR64でRBM1遺伝子を含む領域がコシヒカリになっている染色体置換系統イネを利用し、BMVの大規模接種によって自然突然変異BMVの獲得を目指す。また、RBM2については、RBM1に見られたようなタバコにおける自己活性化能は見られないことから、RBM2を発現するタバコ形質転換体の取得を目指す。その後、接ぎ木を利用してRBM2抵抗性を打破したBMV変異体の取得を試みる。また、RBM2による認識に関わる3aタンパク質の領域としてC末端近傍のα-ヘリックスを発見したので、この領域に種々の変異を導入してAvr活性への影響を調査する。CYBVの2aがタバコに誘導する細胞死に関与するNLRの単離のため、昨年度までにBrendoliseらからhairpin RNA libraryを含むプラスミドを入手し、アグロバクテリウムに導入が完了している。また、研究分担者の寺内研では、タバコで細胞死を起こす幾つかのAvr-NLRの系が使える状態にあるので、まずはこれら既存のポジコンの系を用いてアッセイ系を確立し、今年度中に標的NLRを単離できる系の確立を目指し、1次選抜、2次選抜でNLR遺伝子を絞り込む。
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Research Products
(8 results)