2022 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of host endmembrane systems in tomato spotted wilt virus RNA replication.
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22H02351
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石橋 和大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (20611742)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トマト黄化えそウイルス / マイナス鎖RNAウイルス / 出芽酵母 / ESCRT |
Outline of Annual Research Achievements |
TSWVの複製が低下するエンドソーム輸送選別複合体(ESCRT)関連出芽酵母変異株のうち、特に複製低下が著しい5種(vps36, bro1, doa4, snf7, vps4)について重点的に解析を行った。いずれの変異株においても、TSWVのLタンパク質およびNタンパク質それぞれの局在に顕著な変化は見られなかった。このうち、bro1、doa4、snf7、vps4変異株では二分子蛍光補完(BiFC)法によるLタンパク質とNタンパク質のレプリコンRNA依存的共局在が検出できなくなったことから、RNPの形成に異常があることが窺えた。一方、vps36変異株では野生型株と同程度のBiFC蛍光が検出され、他の変異株とは異なる段階で複製が破綻していると考えられた。以上の結果は、BRO1、DOA4、SNF7、VPS4はTSWV RNPの形成に必要であり、VPS36は形成されたRNPの機能に必要である可能性を示唆するが、vps36変異株において検出されたBiFCの蛍光が正常なRNPを形成しているのか、あるいはLタンパク質とNタンパク質が何らかの異常な複合体を形成しているのか、さらなる検証が必要である。 興味深いことに、BRO1、DOA4、SNF7、VPS4はESCRT IIIおよびその関連因子であり、細胞内の膜輸送過程においては、VPS36を含むESCRT IIの後に機能するのに対し、TSWVの複製過程においてはその逆の順でこれらの因子が関与していると考えられたことから、TSWVはESCRT経路そのものを乗っ取っているのではなく、一部の因子を本来とは異なる様式で利用して複製していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TSWVの複製に関与する宿主ESCRT関連因子の中で、作用点が異なるものを見出したことは大きな進捗であり、互いを比較対象として解析の分解能を上げることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
目下の課題として(1)BRO1、DOA4、SNF7、VPS4がどのようにTSWVのRNPの形成に関与しているのか、(2)vps36変異株ではRNPは形成されているのか、されているとしたらなぜ複製が起こらないのかが挙げられる。(1)の解明に向けては、各因子がTSWV LおよびNタンパク質の輸送に関与しており、適切な場でのみRNPが形成されるという仮説を立て、この検証のため、各因子とLおよびNタンパク質の相互作用解析や各因子の局在解析などを行う。(2)の解明に向けてはvps36変異株細胞内で蓄積したLおよびNタンパク質の生化学的特性などを解析し、野生型細胞と比較することにより、RNP形成の可否を明らかにする。 ESCRT以外の膜輸送関連因子変異株においても、これまでに確立した手法を適用し、複製における役割の解明を目指す。
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Research Products
(2 results)