2022 Fiscal Year Annual Research Report
Integrative analyses of endogenous enzymes involved in wood degradation in termites
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22H02360
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
徳田 岳 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (90322750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 裕文 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主席研究員 (10355745)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 昆虫科学 / 木材消化 / シロアリ / 内源性消化酵素 / 消化生理 / セルロース |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はヤマトシロアリの成熟ワーカーを用いて唾液腺と中腸部のRNA-seqを実施した。採集直後のシロアリと2日間絶食させたシロアリ(各5グループ)の唾液腺および中腸よりトータルRNAを抽出した。RNAはマクロジェンに送付し、TruSeqライブラリー作製と次世代シーケンス(NovoSeq6000; 150 bpペアエンド)を依託した。各サンプルより平均5000万リードを取得し、FastPによるアダプタートリミングとQCを実施した後、解析に使用した。DESeq2による解析の結果、唾液腺および中腸のいずれにおいても731遺伝子(全遺伝子の約5%)が絶食前後で有意な遺伝子発現の変動を示した(Padj<0.05)。 近年解析の終了したヤマトシロアリゲノム(Shigenobu et al. 2022 PNAS)より得られたCDS配列に対して、RSEMを用いて中腸及び唾液腺に由来するRNA配列のリードをマッピング(Bowtie2)し、内源性発現遺伝子の発現量の定量を行った。さらCarbohydrate Active Enzymes (CAZymes)のデータベースであるdbCAN2(ver.11)を用いて、ヤマトシロアリゲノムより得られたCDS配列から、糖質の分解や修飾に関係する酵素遺伝子の配列を抽出した。 その結果、ヤマトシロアリは中腸と唾液腺の間で大きく異なる消化酵素の発現パターンを示すことが明らかになった。セルロース消化酵素としては唾液腺ではGH9(セルラーゼ)が高発現しているが、中腸での発現量が低く、代わりにAA15(LPMO)が中腸において比較的高発現していた。シロアリを絶食させるとGH22(リゾチーム)の発現量が増加しており、肛門食によって受け渡される腸内微生物を消化している可能性が示唆された。 また、主要な消化酵素についてはタンパク質発現系も構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ヤマトシロアリの唾液腺および中腸における消化酵素遺伝子の発現プロフィールの全容を明らかにすることができた。また、絶食状態では予想に反してリゾチーム遺伝子が高発現することも明らかとなった。酵素遺伝子の発現系構築にも着手しており、研究はおおむね順調に進展していると判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、唾液腺もしくは中腸で発現し、木材摂食に伴って発現量が増強する消化酵素遺伝子についてのタンパク質発現系構築をさらに進める。また絶食状態で発現が著しく上昇する遺伝子についても機能解析を検討する。発現が上手くいった主要な消化酵素タンパク質に対してポリクローナル抗体を作製し、ウエスタンブロットにより消化管各部における目的タンパク質の局在を検討する。
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