2023 Fiscal Year Annual Research Report
Indirect effects of ocean acidification on rocky shore communities
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22H02367
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
今 孝悦 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (40626868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AGOSTINI SYLVAIN 筑波大学, 生命環境系, 助教 (20700107)
和田 茂樹 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60512720)
BENJAMIN HARVEY 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70785542)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 海洋酸性化 / 二酸化炭素 / CO2シープ / 群集 / 間接効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生物群集に対する海洋酸性化の間接効果を実証するものである。本年度は、前年度に明らかにした「見掛け」の脆弱種であるヒザラガイ類を対象に、酸性化海域でそれらを減じたと考えられる間接効果を推定することを主目的とした。 伊豆諸島・式根島の岩礁域から、酸性化海域(3定点)と通常海域(3定点)を選定し、ヒザラガイ類の餌となる藻類(底生微細藻類・大型藻類)の量および捕食者となる肉食性腹足類の密度を比較した。その結果、底生微細藻類・大型藻類の量はともに酸性化海域で多く、また、肉食性腹足類の密度は海域間で差が認められないことが判明した。このことは、餌および捕食者を介した間接効果は、酸性化海域でヒザラガイ類が減少した理由として大きくない可能性を示唆する。 さらに、ヒザラガイ類が実際に酸性化海域で減じられるか否かを、野外移植実験で検討した。本調査地に優占したリュウキュウヒザラガイを酸性化海域と通常海域に移植し、移植個体の生残率を見積もった。その結果、生残率は海域間で差が認められず、酸性化海域でも高い生残率を保つことが明らかになった。前年度の結果と併せて考えると、ヒザラガイ類は、成体期に、海洋酸性化の直接効果・間接効果の影響を受けにくいことが示唆された。 これまで多くの分類群では、発生初期段階に海洋酸性化の重大な影響が報告されてきた。本研究では成体を対象に種々の検証を行ってきたものの、今後、幼生や稚貝期への影響評価が必要だと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の計画通り調査・実験が進んんだため
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Strategy for Future Research Activity |
今後はヒザラガイ類の発生初期に焦点をあて、幼生および稚貝に対する酸性化の直接効果、また、稚貝が着底する場所をめぐる競争者を介した間接効果を検証する。 1)直接効果の検証のため室内飼育実験を行う。成熟個体を採集し、飼育環境下にて放卵・放精させて受精卵を得る。酸性化条件および通常条件にて発生させ、ふ化率・幼生生残率・着底率を計測する。これを条件間で比較する。 2)間接効果の検証のため野外着底実験を行う。酸性化海域および通常海域のそれぞれに、競争者(ヒザラガイ類の着底を妨げる固着生物)排除区と対照区を設ける。各実験区に着底したヒザラガイ類を計数し、海域間および実験区間で比較する。
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