2022 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸性魚類の繁殖投資量に及ぼす水温と餌料環境の複合的影響の評価
Project/Area Number |
22H02421
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
冨山 毅 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (20576897)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 道夫 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (30450787)
栗田 豊 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 副部長 (40371801)
海野 徹也 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (70232890)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 餌料環境 / 温暖化 / 繁殖投資量 / イカナゴ / マコガレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
瀬戸内海や仙台湾では水温上昇に加えて一部の魚種の餌料環境が悪化していることが懸念されている。本研究ではイカナゴとマコガレイを対象として、水温と餌料環境が繁殖投資量(卵サイズ×総産卵数)に及ぼす複合的な影響を評価することを目的とした。2022年度は瀬戸内海および仙台湾周辺海域においてそれぞれイカナゴとマコガレイの標本収集を行うとともに、既存の標本(マコガレイの耳石等)の整理を行った。また、イカナゴについて水温と給餌条件が成長および再生産に及ぼす影響を評価する飼育実験を実施し、モデルに必要なパラメータとなるデータを収集した。特に、イカナゴでは餌料環境の悪化による再生産への負の影響が報告されているが、夏眠期に経験した水温によって、その影響度合いが大きく変化することが示唆された。このことから、近年、肥満度の減少が認められる瀬戸内海のイカナゴでは、夏季の高水温化によって、再生産力の更なる低下が起きている可能性が示された。仙台湾周辺海域のマコガレイについて、東日本大震災以前(2008~2009年)に比べて近年の個体の肥満度が顕著に低下していること、ただし利用している餌料には大きな変化がみられていないことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
耳石の横断切片を作成するための切断機や画像解析システムなど、繁殖投資と関連する成長特性の解析に必要なシステムを構築できた。イカナゴで再生産に及ぼす水温と餌料条件の影響を評価する実験を実施できたこと、またマコガレイについて肥満度の低下を証明するデータが得られたことから、おおむね順調に推移していると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023、2024年度には引き続きマコガレイの標本収集およびそれらの生殖腺や耳石の観察と解析、イカナゴの飼育実験の継続およびこれまでの飼育実験データの解析を実施する。特に、マコガレイの肥満度の低下や産卵量減少については宮城県や福島県の漁業関係者の関心が高いと考えられ、意見交換を行いつつデータ収集を行う。近年ではイカナゴやマコガレイ以外の魚種でも肥満度の低下など餌料環境の悪化を示唆する情報が散見されており、申請者らがこれまでイカナゴ、マコガレイ以外で収集した知見のとりまとめも併せて進める。
|
Research Products
(4 results)