2022 Fiscal Year Annual Research Report
魚類脾臓における免疫活性化機構 ー脾臓の抗原捕捉部位はなぜ推移するのか?ー
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22H02437
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
末武 弘章 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (00334326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 文雄 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (60822913)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 魚類 / 免疫 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにエリプソイドにおける抗原捕捉細胞の単離に成功した。本細胞は細胞形態やマクロファージマーカー遺伝子の発現からマクロファージであると考えられたことから、これをエリプソイドマクロファージとした。この細胞は哺乳類の初期抗原捕捉細胞であるマージナルゾーンマクロファージと同様の抗原捕捉分子を強く発現しており、マージナルゾーンマクロファージ分化に関わる転写因子を発現していたことから、相同の細胞ではないかと考えられた。しかし、この分化因子のKO魚では、抗原陽性エリプソイドマクロファージ数に変化がなかったことから、哺乳類のマージナルゾーンマクロファージとは分化様式が異なる可能性が示された。一方で、この転写因子が抗原捕捉分子の発現を制御することが示された。この発現制御様式は哺乳類では知られていない。また、メラノマクロファージの単離に成功した。また、フローサイトメトリー解析により、メラノマクロファージと比較して自家蛍光の弱い細胞が見つかった。これらは、メラノマクロファージと同様に鉄代謝に関わる遺伝子を発現しており、メラノマクロファージの前駆細胞である可能性が考えられる。本細胞を詳細に同定することで、メラノマクロファージの由来が明らかになることが期待できる。さらに、哺乳類ではマージナルゾーンから胚中心への抗原の運搬はマージナルゾーンB細胞が担っていると考えられている。マージナルゾーンB細胞の分化にかかわる転写因子が魚類でも見つかっており、この転写因子のKO魚を作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでにエリプソイドマクロファージ、MMの単離に成功しており、いくつかの興味深い細胞特性も明らかにすることができた。また、抗原運搬に関わる可能性のあるB細胞関連転写因子の存在を魚類でも確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
エリプソイドマクロファージの分化に関わることが期待された転写因子は分化に関わっていない可能性がでてきた。エリプソイドマクロファージは哺乳類のマージナルゾーンマクロファージとは由来が異なる可能性が考えられることから、その由来を明らかにする。一方で、MMの前駆細胞候補が見つかったことから、MMの由来、そしてエリプソイドとの関係を明らかにする。
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