2023 Fiscal Year Annual Research Report
Developing practical and strategic methodologies for governance and operations in Land Improvement Districts
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22H02448
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
木下 幸雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (90323477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荘林 幹太郎 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任教授 (10460122)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 土地改良区 / 組織マネジメント / 戦略 / 複式簿記 / バランス・スコアカード / パブリック・マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、土地改良区(灌漑事業体)がしたがうべき経営原則と実践可能で有効性の高いマネジメント手法を新しく提案することにある。研究計画(3か年)は、①全国の土地改良区を対象としたアンケート調査による全体像の把握、②事例調査による内部メカニズムの把握、③国際比較による妥当性の吟味、④戦略マップの構築、によって構成されている。 当該年度では、研究計画①・②に関わる作業として土地改良区の基礎情報と先端事例の収集を行い、③に関わる作業として海外研究協力機関との共同研究を実施した。これらによる研究成果は次の通りである。 土地改良区の全体像の把握と内部メカニズムの把握については、農林水産省の協力のもと、調査対象とすべきサンプルの選定を行うとともに、先端事例の把握およびその評価を行った。また、土地改良区の運営基盤強化の政策方向として、これまで推進されてきた土地改良区の広域事務化・合併に加え、組織マネジメントの改善という新たなアプローチの検討が始められている。農林水産省の担当部署および土地改良事業関連団体における検討過程において、本研究が目指している戦略マップに対する政策的・実務的ニーズが極めて高いことが確認された。この点は、本研究が政策形成過程に影響を与えたものとして強調しておきたい。 海外研究協力機関との共同研究については、サウス・オーストラリア大学とチャールズスタート大学と連携して、オーストラリア灌漑事業体における経営成果の影響要因に関する調査を行い、国際比較による妥当性の吟味を行うことができた。 なお、研究成果は学術論文として公表したとともに、研究代表者が委員を務める食料・農業・農村政策審議会や公的・私的な研究会・検討会の場において、土地改良区の運営課題を含む土地改良事業のあり方について問題提起を行うことで、その積極的な発信と社会還元に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画のうち、①については当初の想定よりも遅れている。その理由は、土地改良区の基礎情報の収集活動は完了したものの、その調査設計については精査に時間を要しているからである。すなわち、当該年度の研究過程において、類似する全国調査を土地改良事業関連団体が実施中であることが判明し、その調査結果を待って重複を避けつつ、さらに深堀りする調査を本研究では実施するのが、合理的であると判断した。 また、当初の想定より遅れていた研究計画③については、調査報告書「Strategies for land improvement districts in Japan: Lessons from Australia」として、国際共同研究の成果をとりまとめることができた。これによって、研究計画①についても、分析モデルと整合性をとりながら、国際的に比較可能なかたちとなるよう調査設計の改善を図ることができる。研究計画④については、検討を始めている。 以上から、総合的に判断すると進捗状況は、「やや遅れている」との自己評価を下した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画①・②については、調査設計の作業が完了次第、全国アンケート調査が実施できる体制にある。調査設計は、土地改良区、土地改良事業団体連合会、農林水産省、都道府県庁の担当者に対するヒアリングとともに、国際共同研究の成果を踏まえて効率的に進めることができる。 研究計画④については、すでに成果をあげている研究計画③に加え、研究計画①・②の結果を踏まえながら、理論的な整合性を検討する。 研究成果はまとまり次第、海外研究協力機関との連携体制を活かして、国際共著論文の執筆、国際学術誌への学術論文の発表などにより国際発信に努めていく。 以上、当初の想定と異なる事情が発生しながらも、柔軟に研究計画を調整して、研究目的が効果的に達成されるよう研究を推進している。やや遅れている現在までの進捗状況を挽回できるよう努めたい。
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[Book] 農業経営2024
Author(s)
大泉一貫、津谷好人、木下幸雄
Total Pages
232
Publisher
実教出版
ISBN
9784407205367
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