2022 Fiscal Year Annual Research Report
Proposal of a diagnostic method for buried pipe and the peripheral ground, and development of the diagnosis for determination
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22H02457
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
兵頭 正浩 鳥取大学, 農学部, 准教授 (60611803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 将幸 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (50293965)
緒方 英彦 鳥取大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90304203)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 農業用水路 / 機能診断 / 内面載荷法 / 荷重ー変形量 / ひずみ / とう性管 / 不とう性管 |
Outline of Annual Research Achievements |
農業水利施設は、供用年数の長期化あるいは自然災害により機能低下しているものがあり、それら施設の長寿命化あるいは改築の必要性が顕在化している。本研究では、農業用水利施設の事故件数の50%以上を占める農業用パイプラインを対象とし、地盤・劣化特性が異なる埋設されたとう性管の状態を内面載荷法によって取得した定量データから、『材料特性(管種)』に応じた『地盤特性』と『劣化特性』に分離することを目的とした。なお、内面載荷法とは、申請者らが提案している非破壊かつ非開削で埋設管の状態を評価する手法である。 まず初年度においては、管内面から局所荷重を作用させた場合の管体および地盤挙動の把握を実施した。具体的には、実験土層内に埋設した健全管に対して、段階的に土圧の大きさを変動させた場合の鉛直載荷によって得られた荷重―変形量の関係と、管内外面に貼り付けたひずみの挙動から、管体と地盤の複合体における弾性領域と塑性領域の境界について検証を行った。その結果、非埋設とう性管に対して内面載荷法を適用した際の測定断面に対する変形特性として、載荷軸に沿った押し抜きせん断が生じていることがわかった。また、地盤剛性が管体剛性を上回った状態では管体の水平変形量が微小となる領域が広くなるが、地盤剛性が管体剛性を下回った状態では管体の水平変形量が微小となる領域が狭くなることがわかった。つまり、管内面から管体を変形させる力が、地盤反力による管体の拘束力を卓越することで、荷重―変形量や荷重―曲げひずみの関係性が線形に収束することを確認した。このことから、内面載荷法をとう性管に適用することは、非線形領域の存在の有無によって地盤の締固め状態を評価できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我が国において、国営造成の農業用パイプラインの延長は8,734kmであり、そのうち90%以上がダクタイル鋳鉄管や塩ビ管などのとう性管が占めている。申請者らは、これまでに不とう性管であるRC管を対象とした機能診断手法として内面載荷法を提案してきた。不とう性管においては、地盤剛性よりも管体剛性の方が高く、管体の剛性を評価することが埋設管の剛性評価につながることを確認している。その一方で、とう性管は、地盤の拘束による管体のたわみを考慮した設計を要する管であり、地盤の状態が管体の変形特性に大きな影響を与える。 この背景のもとで、初年度の研究を実施しており、とう性管においては計画通りに進捗をしている。しかしながら、不とう性管においては、取得した荷重―変形量の傾きにばらつきが生じることが判明した。このばらつきは、経年劣化などによる管内摩耗や、装置と管内面の接触面積の変動などが要因であると考えられる。そのため、ばらつきを考慮したうえで、取得データから構造的耐力を評価する基準を確立する必要があることがわかった。そこで、実験時の様子を確認しやすい開水路を代替とし、内面載荷法と同様の原理で載荷することで取得したデータを統計的に処理した。この結果、データ精度を向上させるために、ばらつきを小さくする処理について検討を行う必要があることが分かった。現在においては、具体的な統計的手法の検討に着手しており、研究の大きな遅延にはならず、得られた研究成果の精度を向上させるための統計的手法も併せて確立できることが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に実施したとう性管への適用性評価では、荷重と変形量の傾きが線形性・非線形性を示すか否かということで周辺地盤の締固め状態が評価できる可能性を示すことができた。ただし、現段階では可能性を示すことができた段階であり、詳細条件を考慮した確認が必要となってくる。管体および地盤の複合体に対する初期弾性係数、接線弾性係数、割線弾性係数、支持力限界に加えて、埋設深さ(鉛直・水平土圧)を考慮して、地盤のみの変形係数(弾性係数)の抽出方法を検討する予定である。また、2022年度に実施した不とう性管への適用性評価では、取得データのばらつきが大きな課題となることが分かった。このことから、取得データに対してばらつきを小さくするため、かつ信頼性を向上させるために、統計的観点からグループの属性評価としてウイルクスのΛ統計量を用いた検定を実施した。この検定方法の課題としては、同一箇所で繰り返し取得したデータから信頼性が高い値を抽出する考えであったが、現場によっては信頼基準が厳しくなりすぎることがあるため、信頼性が高くなりすぎる場合と信頼性が低くなりすぎる場合がある結果となった。今後も、本方法の検証を続けることで本統計処理の精度を向上させる予定であるが、新たな処理方法として回帰係数の信頼区間を用いた検定方法についても検証を進める。とう性管、不とう性管ともに取得データの信頼性を検討することは、機能診断指標を確立するためには必要不可欠であり、重点的に検証を進めることにする。
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Research Products
(4 results)