2022 Fiscal Year Annual Research Report
植物ー植物内生微生物複合系を用いたネオニコチノイド系農薬の後作物残留制御
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22H02476
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
片岡 良太 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00635104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 虹児 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 研究員 (70828863)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ネオニコチノイド系殺虫剤 / 内生細菌 / 農薬分解菌 / マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
作物を害虫被害から守るために、世界中で殺虫剤が広く使用されている。殺虫剤は、標的の害虫を殺すだけでなく、人間、動物、さらには宿主植物や土壌内の微生物群集などの非標的群集にも悪影響を及ぼす可能性が高い。しかし、農薬による非標的群集、特に植物内生細菌群集に対する農薬の影響は、ほとんど理解されていない。 我々は、異なる農薬濃度で処理し栽培したコマツナから培養可能な内生細菌を分離し、その頻度と存在量を解析した。広く使用されている殺虫剤であるジノテフランを用いて試験を実施した。3段階の濃度設定(T1: 生産者推奨用量、T2: 生産者推奨の2倍の用量、T3: 生産者推奨の3倍の用量、C: 農薬なし)で試験を実施した。 培養可能な細菌の分離は、希釈平板法に従い、発芽後 2週間、4週間、6週間後に内生細菌を分離した。 PCR-RFLPでタイプ分けを行い、コロニー間の類似性を明らかにした。RFLPタイプは、16SrRNAシーケンス解析から属種を同定した。その結果、ほとんどの殺虫剤処理では細菌種の減少傾向が見られたが、対照では細菌種の増加傾向が確認された。この結果は、農薬が標的以外の内生細菌群集に悪影響を及ぼしていること示唆した。さらに、2週目と4週目は連続してバチルス属が対照群で優勢だったが、6週目はそれぞれマイコリシバクテリウム属が優勢であった。 殺虫剤処理では、バチルス属、パエニバチルス属、シュードモナス属が 2週目と4週連続でほとんど多かった。逆に、6週目では、バークホルデリア属、ステノトロフォモナス属、パエナースロバクター属がさまざまな殺虫剤処理条件で豊富に存在した。一方で、ネオニコチノイド系殺虫剤を分解できる細菌の分離も進めており、現在、候補菌株を選抜し、代謝物の同定を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネオニコチノイド系殺虫剤が植物内生細菌叢に与える影響が明らかとなり、一方で、内生細菌から農薬分解菌の選抜に至ったため
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Strategy for Future Research Activity |
ネオニコチノイド系殺虫剤を施用した際の植物内生細菌叢のNGSを用いた網羅的解析を実施し、分解菌によるネオニコチノイド系殺虫剤を分解した際の分解代謝物の検出とコマツナへ分解菌を接種した際のネオニコチノイド系殺虫剤濃度変化および植物代謝への影響について評価する。
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